呪われた刀剣は、愛されたかったようで。【刀剣乱舞】 (ページ40)

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７５　久し振りと”驚き”とページ40

「皆〜。主が来たよ〜」

「久し振りに大将も揃って飯を食おうぜ」

昼餉の準備をしていた刀剣達は、その一言で顔を変えた。視線を集めた本人である海翔は、照れ臭そうな表情をしながらも、大広間の自席に着席した。

瞬間。大勢の刀剣、特に短刀達が、準備そっちのけで海翔の周囲に集まった。

「あるじさん！まってましたよ！」

「大将！やっと懐に入れる〜♪」

「主君、御身体の調子は如何ですか？」

「おーおー皆集まって来たな〜。俺は大丈夫…って訳でもないが、まあ、気分転換がてらにな。お前達には心配かけたな」

「主さん、オレたちの事なら気にすんな！主さんが元気になるのを気長に待つぜ！」愛染の言葉に、他の刀剣も頷く。それを見て、海翔は柔らかな笑みを浮かべた。

すると、丁度出来たのか、大量の料理を抱えた伊達組の刀剣達が、厨房から出て来た。特に鶴丸は海翔が来た事に驚いた様で、「おあっ！キミか！？こりゃ驚きだ！」と、嬉しそうな表情をした。

「鶴さん、君が部屋から出て来たら必ず見せたい物があったんだよ」

「俺に見せたい物？」

「一寸待っていてくれないか？直ぐに持ってくる！」

「ツルマールさん、驚きは要りませんからねー」

ちゃちゃ入れをする鯰尾に、鶴丸は「何、心配要らないさ！驚きと思えない程のとっておきの驚きだからな！」と遠くから叫んだ。「…結局驚きじゃないですか〜」苦笑いの鯰尾も、そう言いつつ、何だか楽しそうだった。

数分後。鶴丸は嬉々とした表情で、海翔に小さな木箱を手渡した。「…何だ、これ？」海翔は首を傾げた。

「開けてみてくれないか？そしたら、何か判るさ」

「…おう、判った」

海翔は念を入れ、深呼吸をした。そして、ゆっくりと木箱の蓋を開けた。

───そこには。

「！！」

「如何だ？俺と伽羅坊で作ったおどりこまるだ！」

「鶴さん、オルゴールね」

アンティーク調の、だが何処か和を感じさせる様な、不思議な様相のオルゴールが、木箱の中に可愛らしく入っていた。鶴丸は自信げに立っており、遠くで大倶利伽羅が「俺は関係ない」と言いたげに皿を並べていた。

「……もしかして、余りの驚きに心臓が飛び出てしまったか？」反応の無い海翔の顔を、鶴丸が笑顔かつ心配そうに覗き込む。すると、

「…嗚呼、心臓飛び出るかと思った…っ、有難う…」

───海翔は大粒の涙を流していた。