６２ 如何しようタイム 安定side ページ26
あ、主へのプレゼントが、事故で破れた……！？
僕たちが主に用意したのは、今までの本丸での思い出を詰め込んだ写真アルバム。有難うって気持ちと、これからもいっぱい思い出を作ろうねっていう気持ちを含めた、集大成の贈り物だった。
なのに、何で……。
「ぼ、僕の所為なんです」その時、ふと、五虎退が声をあげた。五虎退の話によると、虎達が会場の匂いに釣られ縁側を走って行ったところ、プレゼントを持った鯰尾にぶつかり、アルバムが破れてしまったそうだ。
「僕があの時、ちゃんと虎たちを止められていたら……本当に御免なさいっ」
「……まあ起きちゃった事は仕方無いし、五虎退が悪いって訳でもないでしょ。そんなに悲観しなくても大丈夫だよ」
「でも、清光。このプレゼント如何しよう。今から修復するのも、間に合わなさそうだよ……？」
水を差す様な発言で申し訳ないが、もう主が来るまで時間がない。主はきっと優しいから、破れてしまったアルバムでも喜んでくれる。
だけど、僕はちゃんとプレゼントを渡したい。主にちゃんと有難うを伝えたい。皆の顔を見てみると、全振りがそう思っている顔をしていた。
そしてその時。
「おやおや、大事が起きている様だな」
「物事にトラブルは付き物だ。そう慌てる事でも無い」
「何か御力になれる事はありますか？」
「て、天下五剣……！」
天下五剣の刀達が、会場に入って来た。如何しよう、天下五剣の刀達も、この日の為に準備してくれてたのに……。たった一切れの切れ目が、繋がっていた糸を絶えさせようとしている気がした。
更にその時だった。
「……」
「よ、淤御国！？」
「淤御国、如何して……」
「いつも余りオレたちの傍にさえ居ないというのに…」
淤御国が、天下五剣の後ろからこっそりと出て来た。淤御国は相変わらずおどおどとしていて、矢張り護りたくなる。まあ戦闘に入ると寧ろ僕たちを護る為に動いちゃうのが淤御国なんだけど。
「ぼくがさっき、そこでみつけたので、つれてきたんです！」更に後ろから今剣が現れた。少し話を聞くと、淤御国が縁側でぼーっとしていた為、折角なら、と連れて来たらしい。
最近色んな刀剣と関わる様になった淤御国。過去を話した事で、少し成長しているのかな。何だか嬉しい。
淤御国は破れてしまったアルバムを手に取る。奇しくも破れたページは、淤御国の様子が写っているモノだった。
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