番外編 現世へ行こう！ ２ ページ19
翌日。海翔は洋服を着て淤御国を待っていた。すると、待ち合わせ時間丁度に、淤御国はやって来た。
「お、淤御、国……？」海翔は振り向いて名を呼ぼうとするが、予想外の事に驚きを隠さず、只呆然と淤御国を見ていた。
先日２振りまでなら連れて行ける、と伝えた為、てっきり淤御国は安定と清光を連れて来ると思ったのだが、意外な事に、淤御国と共に現れたのは鯰尾藤四郎と、骨喰藤四郎だったのだ。
何故……？と、一瞬頭がショートしかけたが、直ぐにその真意に気づき、笑顔で海翔は淤御国に言った。
「淤御国、鯰尾と骨喰と仲良くなりたいんだな！！」
「……は、い」
あれ？違ったか？と、淤御国の返答を受け、海翔が首を傾げていると、鯰尾が元気良く、訳を説明してくれた。「加州さんと大和守さん、主の命で遠征に行ってるじゃないですか！で、和泉守さんに堀川くんも出陣中なので、其処で俺たちが、一緒に行く！と言った訳ですよ！生憎、薬研は今伸びているので」
海翔は思い出した。新撰組達は皆戦いに出ており、薬研は先日、酒を飲む酒豪刀達に巻き込まれていた為、二日酔いなのだ。あれ程薬研の事を考えろ、と言ったのに。海翔は酒豪刀の容疑者達の顔を思い浮かべながら、今度のお仕置きを考えた。
其処に骨喰がやって来る。「主殿、早く行こう。でないと、また怒られるぞ」
「そうだ！長谷部にまだ終わってない書類、明後日提出だと言われてたんだった……。でも、やりたくないから仕方ないよな！行くぞ！現世！！」
「相変わらず主仕事嫌いですね！」
「後で死ぬ気でやってもらう、と、乱も言っていたぞ」
「いぃぃぃぃぃやだぁぁぁぁぁぁぁ！！」
鯰尾と骨喰は、薬研の後に顕現した刀である。先に鯰尾、その後骨喰。２振りはほぼ同時期に顕現し、まだ本丸に刀が少ない頃から海翔と共に過ごしていた為、極、になり、海翔が信頼し、何かあった時は頼る刀なのだ。
それこそ、海翔がある時、本丸の運営もままならない状況に陥った時は、誰よりも先に、本丸の為に動いた。鯰尾と骨喰にとって、この本丸は、最早存在自体に感謝する程の場所なのだ。
そして、海翔と乱が喧嘩した際には、乱の愚痴に一日中付き合った。お兄ちゃんとしての力も、刀としての実力も、両方兼ね備える２振りは、あの一期でさえ、海翔に関してで頼りにしている。因みに、海翔の愚痴は薬研が聞いたと言う。
淤御国は仲睦まじそうに話す海翔と２振りをじっと見つめていた。
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