三条、唯一の失敗作と謳われた刀［刀剣乱舞×男主］

拾漆 ページ20

前「弓兵！打ちなさい！」




緊迫した空気を破るようにして前田の声が周囲に響く。




同時に雨あられと降り注ぐ無数の弓。それらは敵の兵を次々と射抜いてゆく




獅「行くぜっ」




頃合を見、四方から兵を引き連れて攻撃を仕掛ける




僕も与えられた兵に合図をし、力強く地を蹴った




一気に詰まる距離、瞬間刀を横薙ぎに払うと一瞬で骸と貸した敵。




ある程度突き進んだところで兵を先に行かせ、僕は各個撃破を狙い別の方向へ走る




「よいしょっと」




目前の敵を斬り伏せ、振り向きざまにもう一撃。丁度首の辺りを狙ってきた一撃をしゃがんでかわし、しゃがんだ反動で高く飛び上がった。




むせるような血のにおいが僅かに遠ざかった




大丈夫。まだ理性はある。




そう自分に言い聞かせ、降下を始めた身体を捻って敵の頭を踏み台に使い、また一撃。




舞いでも舞っているようなその不規則な動きにつられ、敵の陣はすでに滅茶苦茶になっていた。




要所要所で「キエェェ！！」といった奇声や「見え見えなんですよ。」といった若干薄ら寒さを感じる言葉が聞こえるので順調に殲滅しているんだろう。




「っ！」




敵地のほぼど真ん中で少し気を抜いたのが悪かった。これ好機とばかりに背後から複数の殺意が迫り、僕は咄嗟に一つを刀で、残り二つは腕で受け止めた。





当然、斬りつけられた腕からはどくどくと血が溢れる





「ちょっと痛いかなー…」





力任せに腕に食い込んだ刀を振り払い、斬り結ぶ。





初陣なのだから飛ばしすぎるでない、気をつけよと三日月に忠告されたことを忘れていた報いか。





返り血に加わった自分の血のにおいに思わず理性がぶっ飛びそうになるのを必死に留める





「っ……最悪。」




止まることを知らない血をそのままに、斬られた怒りをぶつけるようにして更に中心へと突っ込んでいった。

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