【東方Project】～少女の幻想郷見聞録～ (ページ5)

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序章　非日常ハ突然ニ　～Ⅳ～ページ5

一陣の風が、森をざわめかしながら通り過ぎていく。
『これがご神木、か…。』
狛犬兄妹たちに案内され、神社の裏の森を入って10分位したところ。
そこに、樹齢200年は軽く超えるだろうという、立派な樹木がそびえ立っていた。
異様なほどの存在感を放つそれは、明らかに別格とすぐわかるほどで、
私なんかの存在なんて簡単に押しつぶされ、無かったことにされてしまいそうで。

今すぐこの場から逃げ出したくなる。

『――――っ!』
消えて、たまるか。

別にどうしてもあいつに会いたいからとか、そんなドラマ的な理由はないし。
本当なら、今すぐ消えてしまったってかまわないのだろうけれど。
私はまだこの世にいたいんだ。

特に、何がしたかったわけでもない。ただ、まるでそうすることが当然でもあるかのように、自然と手を立派な幹に当てていた。
何にイラついているのか、まるで殴りつけるかのように。
そして、どなりつける。憎しみをこめた瞳を、ご神木の上で見ているであろう、すかした神様に向けて。
特に、何か関わりがあるわけじゃない。でも、嫌悪の気持ちを生みださずには居られない。
今となって、なぜこんなことをしたのかと全力でたずねたくなる。
そんな、ぶっ飛んだ言動だった。
『《おい、ジジィ!!我が力を持ってテメェに命をやる!!起きて俺としゃべりやがれ!!!》』

風が吹き抜ける。いつも以上に風が強く、パーカーのフードをかぶる。
すると足元がなんだか蠢いている感覚。
何事かと足元を見れば、地面から伸びてくる無数の根。
うねうねうねうねうねうねしてて、私の周りを取り囲むようになってきてて……っ。
見た瞬間、顔から血の気が引いてゆく。

『わあああああぁあぁぁあああああッッッ!!!!!』

ないないないないないコレは無いマジでないありえないっ!!!!
だって、木がうねうねしてるんだよ!?タコみたいに!!!たこ焼きおいしいけど!!←

いやね、確かに命を与えたんだからね、動くとは思ってたけど。
思ってたけど！！

木って無駄にでかいし、動かないでしゃべるだけって思わない!?つか思って!!

ああああああもう根っこが私を包んでいる。
光が完全に遮断されている。

もうないよ、まじないよ。
なんでこんな理解不能な物体に私は包まれちゃってんの。

もうマジわけわかんない。

逃げるかのように、私は自ら意識を手放した。

―――――
次でプロローグ終わらせて見せる!!