同情と恋心 (ページ28)

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私はスタッフの一人。ページ28

最近キスマイの皆さんを見かけない。

噂によるとダンスのリハとか、レギュラー番組とかに追われてて、打ち合わせもメールでのやり取りになっているらしい。

あの、玉森さんとのドキドキも夢のまた夢のような感覚になってきて、

拓真くんとはすっかり打ち解けて、友達のように普通に喋れるようになった。

まぁ、一ついうなら拓真くんがまだ敬語で話してくるところがなんか違和感なくらいで、それ以外は普通に過ごしていた。

私たちの担当しているキスマイのライブの本番も近づいてきて、社内はいつも走り回っている人で溢れかえっていて、いよいよだなぁって感じがしていた。

そして、明日は本番直前にある、本番用のセットでの通しリハだった。

久しぶりに皆さんに会う。

会場ではない場所に巨大セットを一度作って、使い方など確認するためにメンバーとスタッフが一同に集まるのだ。

その準備に追われて今日は終わった。

――自宅――

「ただいまぁ～～！」

どさっ、

誰もいない部屋に向かって声を出して、カバンをソファの上に投げた勢いで自分もソファに倒れた。

【はぁ～、疲れた。

今日も拓真くんにたくさん助けられたなぁ…

っていうか、

明日…

久しぶりに玉森さんに会うんだった。

どんな感じだろ。。。

って私が意識しちゃってるだけで、あっちは遠の昔に忘れちゃってるよね。】

「はぁ、玉森さんかぁ。。。

どうせ、モテモテだから彼女さんとかいるんだろうし、

なのに私にあんなに優しくしなくたっていいのに。」

そんな独り言を言いながらテレビをつけるとちょうど嵐が出ていた。

「わっ！嵐だ！！」

最近仕事のせいかキスマイのことをずっと考えていたり、キスマイの曲を聴きすぎていて、嵐ごとを追えずにいた。

【久しぶりに落ち着いて嵐を見た気がする。】

「ねぇ、嵐の背中追いかけて入った会社で、今嵐の後輩のキスマイと私仕事してるんだけど？

嵐はキスマイのことどう思う？

ていうか……

玉森さんってどんな人なの？

私わかんないや…。」

そのテレビに向かって私は独り言を言った。

それと同時に何故か少し寂しくなった。

少し前のことなのに、隣の温かさが蘇った。

でも、

【明日はしっかりしなきゃ！

私は数多くいるただのスタッフの一人なんだから！】

そう自分に言い聞かせた。