第百九話「深夜の病院」 ページ10
「夜の病院ってブキミだよね……夏羽クン、手握ってもいい?」
「かまわない」
「わ、私も……いや、全然怖くない、怖くないけどあれだ。びっくりして刀が飛び出すかもしれないから……いや……うん……」
「A、はい」
「アッ……すみません……」
ぼそぼそ呟き明らかに挙動不審な私に手を差し出してくれた夏羽くん。
違うのよ、前にミハイさんに(無理やり)プレイさせられたホラゲーの景観にそっくりなのよ。めっっっちゃくちゃ怖かったのよあれ。あっ怖いって言っちゃった。いやマジで怖かったのよあれ。私も手を繋がせてくれ〜〜〜!!(本音)
おじさんは慣れたように室内に入り、そしてシャッターが閉まった受付の前に立ち止まる。
「こんばんは、やってるかい?」
「いやいやおじさん。流石にいないって、こんな時間なん」
「やってないよ。診療時間内にまたおいで」
「………」
「痛くないから大丈夫」
突然受付の奥から聞こえた声に心底びびったせいで、手から出た刀が夏羽くんの手に貫通してしまったのを見た私に気付いた夏羽くんがそう言ってくれた。ごめん、ホントごめん……というかアキラくんと手を繋がなくてホント良かった……
「前に来ただろA……」
「覚えてないよ、何年前だと思ってんの」
「あー……そうだっけ?……じゃなくて。悪いな、急患なんだ」
「……何科の患者だい?」
「怪物科で」
少しの間を置いた後、急に隣の扉がバン!と開いた。
「きゃあ!」と可愛らしく驚くアキラくん。対して私は無言でめちゃくちゃビビったせいでまたも夏羽くんの手に刀が貫通した。ひ〜〜んごめん〜〜!!!
「……なんだ、隠神か……それに、あんた」
「アッアッ、その、あの、む、昔はお、お世話になりましたか!?」
「聞かれてもねぇ」
アッ、つい。
めちゃくちゃキョドッた私に「あんたも変わらないねぇ」と呆れた様子のおばあさん、名を
彼女は私たちを中へと引き入れ、そしてシキくんが抱えていた彼のお母さんを寝台に寝かせる。
「……なるほどね。精神的なものだろうね、辛い思いをたくさんしたんだろう……そういう仔たちはたくさん診てきたよ」
「目は覚めるんだよな?」
「大丈夫、気付けにいい漢方を煎じてやるよ」
命に別状はないらしい。
ほっとした様子のシキくんは小さく息を吐いて「そうか……」と呟く。
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わっしょい(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!! (3月30日 9時) (レス) @page25 id: ae48603a54 (このIDを非表示/違反報告)
なんてこったパンナコッタ(プロフ) - 面白くて一気読みしていたら夜が明けていました!!更新よろしくお願いします!! (7月1日 4時) (レス) @page24 id: 505aaafbd1 (このIDを非表示/違反報告)
miraiTime0615(プロフ) - 怪物事変再熱して面白いのないかなぁと思っていたら主様の小説にたどり着きました!とても内容が面白く一気見しました!!更新いつまでも待ってます! (6月17日 3時) (レス) id: c458a46efd (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私逆ハー大好物なので嬉しいです!怪物事変のキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (5月22日 11時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - とても面白いです!見てる時についふふっと笑ってしまいました笑質問なのですが、新しいアカウントの方で読むにはどうすれば良いでしょうか? (2021年5月27日 7時) (レス) id: f5afd42ea2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年8月27日 15時