第百十一話「幸せな結末」 ページ12
急にがちゃん！と入って来たのに驚いたらしい私はベッドから転がり落ちながら「何奴！敵襲か！？武士どもよ、出会え出会え〜〜！！！」と手から出した刀を振り上げ開口一番にそう叫んだらしい。
おじさんが今朝、その時の様子を思い出し半笑いで教えてくれた。とんだ黒歴史だ。なんだ、時代設定どうなってるんだ。一人だけ戦国時代に突入したというのか。というかどんな夢を見ていたというんだ。
まあそんな事はさて置き、「織の母親が目覚めた」との報告を受けて飛び起きた私たちは(私だけ物理的に)、急いで彼女が眠っていた部屋へ向かうと、そこには泣き噦る少女を抱きしめ笑うシキくんのお母さんの姿。
綺麗な微笑みを浮かべ、今度はどこか照れた様子のシキくんを腕に抱き締める。その顔は幸せに溢れていて、昨日の憂鬱な気分が一気に晴れたような気さえした。
そこには私にはもう二度と訪れることのない、「家族だからこその幸せ」があった。
「＿＿＿＿………おめでとう、シキくん」
おめでとう、本当におめでとう、シキくん。
3人で仲良く笑い、幸せに満ち溢れたその様子を見て、私は小さく呟いた。
これは彼らの「ハッピーエンド」。
伝承の書物を読み、たかがお伽話だと馬鹿にした私には手に入らないだろう結末。
それでも私は、ただ黙って彼らの様子を眺め続けた。
＊＊＊
そして、あれから数日後。
いつものように、いつもの昼食を作ったらしいおじさんに呼ばれた私たちはリビングへ向かう。
机の上にはやはりラーメン。
おじさん、もうちょっと食事のレパートリー増やしてくんないかなぁとか思いながら食べ始め、ふと一つだけ空席となった椅子を見る。
いつもなら、シキくんが座っていたはずの椅子。
彼は彼の母親が目覚めてから、「しばらくここに残る」と御花おばあさんのところに居候させてもらう事にしたらしい。
今の自身の給料だけじゃ家族全員を養っていけないから、母親の体調も回復を待ちつつ、これからどう生活していくか考え直すとのこと。
へ〜、しっかり考えてるなぁなんて呑気に考える私に対しアキラくんは「事務所でみんな一緒に暮らせばいいじゃん！」と物凄い提案をしたが却下されていた。まあ確かに寮でもシェアハウスでもないしな、うちは。
そんなこんなでシキくんが来なくなって一週間が経ち。
どこか切ないような、彼がいた時にはなかった静かな時間が生まれてしまったような………つまりはめちゃくちゃ寂しいのである。
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わっしょい(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！！ (3月30日 9時) (
レス) @page25 id: ae48603a54 (このIDを非表示/違反報告)
なんてこったパンナコッタ(プロフ) - 面白くて一気読みしていたら夜が明けていました！！更新よろしくお願いします！！ (7月1日 4時) (レス) @page24 id: 505aaafbd1 (このIDを非表示/違反報告)
miraiTime0615(プロフ) - 怪物事変再熱して面白いのないかなぁと思っていたら主様の小説にたどり着きました！とても内容が面白く一気見しました！！更新いつまでも待ってます！ (6月17日 3時) (レス) id: c458a46efd (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 初コメ失礼します！私逆ハー大好物なので嬉しいです！怪物事変のキャラ全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってください！ (5月22日 11時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - とても面白いです！見てる時についふふっと笑ってしまいました笑質問なのですが、新しいアカウントの方で読むにはどうすれば良いでしょうか？ (2021年5月27日 7時) (レス) id: f5afd42ea2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nny。 x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年8月27日 15時
