籠の中の鳥は ページ5
.
「ああでもあの方に呼ばれてるから駄目だ、行かなきゃ」
「……!」
「ごめんねAちゃん、俺ちょっと出てくから待っててね」
ゆっくり私から退いた彼は、私の手を掴むと布を挟んで紐でくるくると縛った。
痕にならないように、と。この鬼はいつも鬼の癖に人間臭い配慮をする。
「じゃあ行ってくるね」
私の額に唇を落とし、彼は立ち上がるとそのまま出て行ってしまった。
少しして、ゆっくり立ち上がってそろそろと扉へ近付く。
………鍵が掛かっている。
「(……開いてるわけないよね)」
その場にぺたん、と座り込んだ。
布を当てられても、きつく縛られた腕。何もできやしない。本を読む事さえ出来ない。
「………なんで、なんで私なの」
何故、どうして、なんで、
脳内でぐるぐる、同じ言葉が回っては消える
月明かりが部屋を照らした。
部屋の高いところに存在する窓。意味は為しているのか。しかし外界の情報を得るのはあれしかない。
暗い暗い部屋の中、私は身体を横たえる。
「おとうさん、おかあさん」
私はここに居ます。
得体の知れない鬼に捕まって、如何してか未だ食べられないまま惨めに生きているの。
「だれか、たすけて」
私はここに居るのに。
.
1548人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さゆ - うわわわわっ好きです!!!めちゃくちゃ続きが気になって夜も寝れんです…更新期待してます!!!頑張って下さい!! (2021年12月2日 22時) (レス) @page12 id: 4ef95153e2 (このIDを非表示/違反報告)
黒酢 - 更新待ってます!!!!!!!! (2020年10月19日 22時) (レス) id: e1ff724525 (このIDを非表示/違反報告)
水道水 - 更新まだかぁぁ!課題のモチベにしとるんやー!このままだと成績が((( (2020年10月6日 4時) (レス) id: 8bc950c6fe (このIDを非表示/違反報告)
恋狐(プロフ) - 更新お待ちしております…! (2020年6月2日 4時) (レス) id: 966f21b147 (このIDを非表示/違反報告)
白蕀姫 - すごく面白いです!更新頑張応援してます´∀` (2020年3月18日 22時) (レス) id: d5d3062330 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こむぎこ | 作成日時:2019年10月5日 10時