チグリジアⅣ ー愛して、助けてー (ページ37)

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翔太は、デスクの引き出しにあるスマホを見つけると、「あった」と言って、それをポケットにしまった

「良かったね、見つかって。じゃあ、気をつけて帰ってね」

止めていた手をまた再開させようとすると、

渡「こんな時間に、一人で帰らせるわけねぇじゃん」

そう言って、私の隣のデスクのイスにドカッと座る

頬杖をつきながら、こちらをジーッと見てくる

無駄に長い脚を組ませながら。

え、待って。

この状況で作業しろと.....？

「そんな見られると作業しづらいんですが？」

渡「あっ......わりぃ。スマホいじっとくわ」

「いやいや、帰って大丈夫だよ？元々一人で帰る予定だし、タクシー乗ってくし」

渡「タク代もったいない。こっからお前ん家までいくらかかると思ってんの？」

値段を改めて計算すると、少しゾッとした

だからといって、歩くのもめんどくさい

渡「言っとくけど、俺車持ってるからね？なんなら車で来てるから」

「え！？車で来たの！？てゆか、お酒飲んでなかったんだ....」

同期とご飯とか言うから、てっきり飲酒してんのかと思ってた

しかも車持ちという新事実を知った

渡「だから、送ってくっつってんの」

ぶっきらぼうな言い方なのに、優しさのあるその言葉に今だけは甘えることにした

「まぁ、タク代高いしね....」

なんて、言い訳をして。