チグリジアⅣ ー愛して、助けてー (ページ35)

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「やっばいな....」

みんなが定時でゾロゾロと帰っていく頃、ボソッと一人呟いた

明日提出の資料を何かの手違いで、全て消去してしまった

幸いにも、そんなに手間のかかるものではなかったため、集中すれば今日中には終わるはず....

スマホのトーク画面を開き、蓮に伝える

『ごめん。残業してく。遅くなるから先寝てて』

ピコンっ

蓮『わかった。遅くなるなら、ちゃんとタクシーで帰ってきてね』

『了解』

デスクの上にスマホを置き、ため息を一つこぼした

この歳になって、こんな凡ミスするとは、思ってもみなかった。

帰っていく人々に、虚しくも「お疲れ様でしたー」と元気に声をかける

どんどん空になっていくオフィスを見て、またため息が一つ漏れる

気分転換に、コンビニに行くため、会社の外に出た

サンドウィッチとコーヒーを買い、オフィスに戻ると、案の定誰もいなかった

少し暗くなったオフィスに、私の心に寂しさが訪れる

無意識に、斜め前のデスクに目を向ける

「.....そりゃあ、帰るよな、」

荷物も何もない、翔太のデスクを見て、ボソッと呟く

二人きりになったらなったで気まずいけど、話したいと思うことには変わりはない

自分から翔太の存在を遠ざけているくせに、とんだわがままなんだけどね。

「会いたくないけど、会いたい、、かも」

静まり返ったオフィスに、私の呟きが響いた