チグリジアⅣ ー愛して、助けてー (ページ32)

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ギリギリ遅刻寸前で、会社についた

わりと早足で来たため、少し乱れた息を整える

香「珍しいわね。あんたが遅刻ギリギリとは」

「普通に寝坊しかけた」

香「めめくん起こしてくんなかったの？」

「うん。スヤスヤ寝てるから起こせなかったって」

香「なにそれ笑」

笑いながら、自分のデスクに戻る香織

斜め前から感じる視線に思わず顔を上げると、バチッと目が合った

何か言いたげな顔に気まずくなって、すぐに目を逸らす

あの一瞬の出来事に、心臓がバクバクする

ただの同期と目が合っただけなのに。

最後に翔太と話したのはいつだろう

そんなことを考えながら、仕事に移る

「わりぃ。これ営業部に持って行ってくんね？」

先輩にそう声を掛けられる

正直、営業部行くのは気が引けるけど、仕事だからしょうがない

「わかりました」と返事をして、席を立つ

立ち上がる時、ふと翔太のデスクの方に目を向けると、カタカタとキーボードを打っていた

いや、私、めっちゃ翔太のこと見てんじゃん。

そう自覚し、自分にため息が漏れる

先輩から渡された資料を持って、営業部へ向かう

道中の足取りが重くて仕方なかった