チグリジアⅣ ー愛して、助けてー (ページ11)

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渡辺side

岩｢てゆか、なんで翔太はAを好きになったわけ？｣

岩本さんからの突然の質問

さっきまでしょげていた深澤さんも興味津々な様子で顔をこっちに向けてくる

いや、圧がすごい。

渡｢朝一で使う資料のデータ全部消しちゃって、一から作り直すってなったんすけど、寝不足からか会社で朝まで寝ちゃったんすよ｣

岩｢うわ、まじか｣

渡｢やべぇと思って起きたら、出来上がった資料が俺のデスクにのってて、それを作ってくれたのがAだったんすよ｣

深｢うわ、なにそれ。惚れるわ｣

渡｢見事に惚れました。しかも俺が寝不足で顔色悪かったのも見抜いてて、あー将来この人が奥さんだったら幸せだろうな、なんて考えちゃいました｣

あの時の記憶が蘇って、更に好きだなって自覚する

宮舘とAの会話を盗み聞きしてなかったら、今頃俺はどうなっていたんだろうと、考える

岩｢待てよ。覚えてるかも。お前にしては出来のいい会議資料だなって思ってたけど、Aなら納得だわ｣

渡｢貶されてるんだろうけど、Aが褒められてるんなら、それでいいです｣

岩本さんだし、俺の実力はこの人も分かってるだろうし。

逆に今まで、俺が作ったと信じてくれていたことの方が有難い

深｢なぁ～んか、その話聞いて益々好きになった。....ちょっと嫉妬するけど｣

これ以上好きになられんのは困るけど、嫉妬されてんのは嬉しい

今まで深澤さんとAの関係に嫉妬しまくってきた俺にとっては、小さいながらの仕返しになった

ちょっとだけ浮ついた心を鎮めようと、ジョッキに手を伸ばす

あ、空だったんだわ。