チグリジアⅣ ー愛して、助けてー (ページ30)

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176 蓮side ページ30

蓮side

隣で眠るAを見て、幸福感を感じつつも罪悪感に苛まれる

布団から出ている透き通るような白い肌が、眩しくて目がチカチカする

Aを抱いたのは、これで二回目だ

好きだという気持ちを隠さないようになってから、歯止めが効かなくなっている

狡い言葉を言って縛り付けたり、Aが断れないことをいいことに、こうして身体を重ねている

行為中、Aはきっと俺じゃない誰かを思い浮かべている

目を瞑っているのが、根拠だ

蓮『A、目開けて、、、今だけ俺を見て』

そう言えば、Aの視界には俺が映る

無理にでも、俺に抱かれているという現実を見せるため

この時、この瞬間だけは、俺のことを見ていて欲しかった

他の誰でもない俺の愛を感じて欲しかったから

ピコンっ

暗い部屋に、パッと明かりが灯る

ベッドの傍のテーブルに置いていた俺のスマホが光っていた

Aを起こさないように、そっとベッドから離れ、スマホ画面を除くと、新着メッセージが届いていた

岩『明日の夜、時間ある？』

岩『話がしたい』

珍しく岩本くんからメッセージが来ていた

その内容を見て、はぁ、とため息をつく

蓮『わかりました。明日の夜7時、前集まった居酒屋で待ってます』

すぐに既読がつき、『了解』とだけ返ってきた

スマホを置いた後、すぐにAのいるベッドに潜り込む

そして、優しく包み込むように、小さな身体を抱き締める

何も纏っていないその素肌に触れるのは、きっとこれが最後だ

蓮｢かの、ごめんな｣

｢まだ心の準備ができてないんだ｣

｢それまで、俺の傍にいてよ｣

朝が来ないで欲しい、なんて思いながら目を閉じる

今感じている愛しい人の体温も、すべすべで柔らかな素肌も、華奢な肩も、Aの全てを忘れないように噛み締めながら、抱き締めた

蓮『愛してるよ』

愛して"た"じゃなくて、ごめん

まだ忘れられそうにないから、今はこれで許して