【d!】ストーカーな君【zm】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:36,371 hit

煙草が5本ページ5

「警察に捕まるのは嫌だよね？」

私の問いに即決で首を縦に動かした彼の手を握る。

そうだよな。前科者になるのはな。

「私良い事思いついたよ。」

今の私の顔は嫌な笑い方をしているだろう。
ストーカーさんの頬に、汗が伝って地面に落ちるのが見えた。

「警察に捕まるのは、ストーカーだからだよね？」

同意を求めると、緑のパーカーを揺らしながら頷くストーカーさん。

「だったらストーカーじゃなきゃ良いんだよ。」

ね？名案じゃない？

「えっと…つまり…？」

ありゃりゃ、伝わってない。

「私の友達になってよ。ストーカーさん。」

……

………

「え！？」

沈黙が暫く続いた後、ストーカーさんは全てを理解したらしく、驚いたように声を上げながら立ち上がる。

「知ってると思うけど、私、Aって言います。これからよろしく。」

そこからは早かった。

「友達になったんだから、名前教えてよ。」

「えっと…ゾ、ゾム言います。」

「よろしくゾム。」

「っ、呼び捨て…」

「あれ？嫌だった？」

「！、うんうん！そうやなくてな！その！嬉しい！」

「？それなら良いや。今日ご飯作ってくれた？」

「お、おん。いつも通り机の上に置いてある。」

「そか、いつもありがとう。本当に感謝してる。そうだ、うちの冷蔵庫にゾムが買ってくれてたお酒あったよね。自分あんま飲めないから、今日飲んでってよ。なんなら泊まってって？」

「え、いやでも…」

「自分明日休みなんだ。ゾムは？」

「夜から仕事が…」

「んじゃあゆっくりしてけ？」

終始困惑してたゾムと家に帰る。うん、やっぱ誰かと話すのは良いなぁ。疲れが吹き飛ぶ感じがする。

「あ、ゾムって成人してるよね？お酒買えてるから確認して無かったけど。」

「あぁしてるで。」

冷蔵庫のお酒を次々と出し机の上に置く。

そっか。と少し冷たく返事をしてしまったなぁ～と後悔しながら煙草に火を付けようとすると、ゾムが嫌そうな顔をした。

もしかして、嫌煙家？

「う～ん、最近はあんま煙嫌いって感じじゃないんやけどな…今顔顰めたのはあれや。Aちょっと吸いすぎやなって思って…体悪くするで？」

またこちらの心配をしてくれた！

文字に起こしたものでは無く直接言われると、また違ったむず痒さがあった。

思わず笑みがこぼれる。

「どしたん？」

「いや、ゾムと友達になれて嬉しいなぁ～って。」

ゾムの顔が真っ赤になる。

「俺も…嬉しい。」