【d!】ストーカーな君【zm】 (ページ4)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:36,375 hit

煙草が4本ページ4

「お、俺がストーカーって、気付いてたん？」

明らかに動揺しているストーカーさん。

まぁ確かに、親切で声を掛けた人間に急にストーカーさんって呼ばれるのはびっくりするよなぁ…て、今彼ストーカーって事認めました？ここは普通否定じゃないのか？

「えっーと、家の中にある監視カメラで、何度か貴方をお見かけしたもので…」

「…」

まさに絶望。そんな暗い顔しても良い事ありませぬぞストーカーさん。

ていうか今の私結構危ない立場なのでは？だって彼ストーカー。私被害者(全然被害ないけど)。彼からすれば、私を消せば誰にもこの事を知らされずに済む。
ひぇ消される。

死を覚悟した私は、ストーカーさんの次の行動に驚いた。

「ほんますまんかった！」

ジャパニーズDO☆GE☆ZA

テレビかなんかで見たものを真似しているのだろうか。不恰好なその土下座は、私の笑いを引き出すのに十二分過ぎるものだった。

「ずっとAの事が好きやったん。一目惚れやったんや。でも接点持たないまま会えんくなって…そんで…」

まだ弁明を続けるストーカーさんに私は、

「…フハッ、フフハハハハー！」

大笑いした。

仕事のし過ぎか知らないが、頭がうまく機能していない事が分かった。良い感じに麻痺してる。
仕事中、資料の量に途方に暮れた時になる状態だ。まるで自分が自分じゃないみたいで嫌なのだが、この時が一番何もかも上手くいくのだ。だから今回もこの脳の痺れに身を任せる。

「謝らんで良いよー自分も君が家事してくれてるのに甘えてたしー…フフッ」

笑いはまだ収まらない。ほら早く止まれや笑い声。ストーカーさんがキョトンってしてるぞ。

「いやでも…」

ストーカーさんがなんか言ってるがそんな事は関係無い。私の麻痺した頭は、恐ろしい事を思いつく。

私も頭の片隅で「それは流石に無い。」と冷静にコメントしていた。
まぁ頭の片隅なんで、無視ですよ無視。

「俺ストーカーやし…」

どうやら彼の中でしっかり結論が出ていないらしい。

犯罪だと、道徳的にも駄目だと分かっていてもやめられなかった。この気持ちが抑えられなかった。

そんな事をどもりながら一生懸命私に説明するストーカーさん。しゃーない私が力を貸そう。

「ストーカーさん。」

「っはい。」

やはりフードと前髪で顔がよく見えない。まぁ良い。

私はまだあまり吸っていない煙草の火を消す。

そして彼と目線を合わせるようにしゃがみ込み、言った。

「警察に捕まるのは嫌だよね？」