【d!】ストーカーな君【zm】 (ページ19)

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煙草が13本ページ19

「久々に俺んちで飲めへん？」

「………介護要員で呼ばれるのはマジ勘弁。」

シャオロンからの電話に出ると、開口一番にそう言う彼。
彼にしては珍しい。来るか来ないかの選択肢をこちらにくれるとは。

「ちなみに返事は“はい”か“yes”な。」

通常運転っすねシャオロン先生。

どうやらこの宅飲み。強制参加のようだ。兄さんも来るらしいので、シャオロンと2人で呑む時よりは大分楽になりそうだが(いつも2人で呑みに行くが、お酒を呑むのはシャオロン。私はただ介護するだけだった)。私お酒好きじゃないんだけど…

電話を切り、ググッと伸びをする。準備をしなければ。

今は土曜日の夕方頃。まぁ明日も休みだし、少しぐらい羽目を外しても良いだろう。

「…友達の所行くん？」

すぐ下からゾムの声が聞こえる。ゾムは今、私の足に頭を置いて寝転んでいる。所謂膝枕というものだ。

まぁこのぐらいの至近距離なら電話の内容も聴こえてきただろう。

隠す理由も無いので素直に首を縦に振ると、ゾムは拗ねたように、ムスッとした表情になった。

「…せっかくの休みの日やのに…一緒に寝れないん？」

「まぁ多分、あっちで雑魚寝になると思う…」

私とシャオロン、兄さんは異性だが、だからなんだという感じだ。私が女っぽく無いっていうのも理由の一つなんだろうが、いつも誰かの家で呑む事になると、決まって雑魚寝である。

今回もきっとそうなのだろう。私は酒飲んで無いけどね。

私の解答に納得していないのか、まだ不機嫌そうなゾム。

そんなゾムの顔に思わず笑ってしまう。

機嫌を直してもらおうと、私はゾムの頭にポンッと手を置きそのまま優しく撫でた。

「…俺のAやのに、あいつらの方に行ってしまうん？俺よりあいつらの方が好きなん？」

ゾムは、私が付けているネックレスに手を伸ばした。ゾム自身がくれたものだ。

「別にどっちの方が好きとかは無いよ。友達は友達で好きだし、ゾムはゾムで、ちゃんと好き。」

少し顔を赤くさせたゾムは、少し考える素ぶりをした後、言った。

「俺も一緒に行く。」

＊

side-zm

Aの友達であるシャオロンの事は、Aをストーキングしている時に知った。

Aに対して無駄に距離感の近い陽キャ。よくAを呑みに誘う会社の同僚。

俺は彼が苦手だった。理由は簡単。ストーカーとしてでしか仲良くなれなかった俺とは違い、彼は正攻法でAと仲良くなったから。