【d!】ストーカーな君【zm】 (ページ14)

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煙草が8本ページ14

カタカタカタカタ

キーボードを叩く音だけが部屋に響く。

いつも通りの休日である。

私はリビングでお持ち帰りの仕事に取り組み、ゾムはその時の気分で過ごしている。

いつもご飯を食べている椅子に座りゲームをしていたり。かと思えば私が背凭れ代わりに使っているソファに横になり眠っている。

少し経てば「構ってぇや」と私を後ろから抱きしめ、首元に顔を埋めるのだ。これは彼の癖なのだろうか？

彼のいる生活にも大分慣れた。いつもの味気ない日常に彩りが加えられたようで、毎日が楽しい。

「あんな！Aにプレゼントがあんねん！」

仕事がやっと終わり、凝り固まった体をほぐしていると、すぐ横から待ってましたと言わんばかりに抱きついてくるゾム。犬みたい。

「プレゼント？」

彼の言った言葉をオウム返しすると、ゾムは元気よくウンと頷いた。

「そっその、俺、Aとこうやって一緒にいる時間、大好きで大切やねん。だから、少しでもお礼したいと思って…」

どんどん小さくなるゾムの声。顔も真っ赤になっている。恥ずかしがってる。

そんな彼の様子と言われた言葉が嬉しくて、可愛くて、ついつい頬が緩む。

一緒にいる時間が大好きで大切だなんて、そんなストレートに言われたら、誰だって嬉しいじゃないか。

「受け取ってくれへん？」

渡された、綺麗にラッピングされた箱に目を落とす。

プレゼントを貰ったって事実だけで一杯一杯なんですが！

「開けて良い？」

「……ぅん。」

箱の中にはマグカップが入っていた。優しい色の緑が主となっており、シンプルだがおしゃれだ。めちゃくちゃどストライク。

「すっごいおしゃれ…ゾムが選んだの？」

「うん。」

「センス良いね。ゾムからあんな事言われただけでもめちゃくちゃ嬉しいのに、まさかプレゼントまで貰えるなんて…ありがとう。ゾム。これ、大事に使うね？」

また抱きついてきたゾムの頭を優しく撫でる。男の人にしては少し長い髪は、サラサラで触り心地が良かった。

「あっあのな、そのマグカップ。俺とお揃いやねん。」

パタパタと少し駆け足で台所に向かったゾムは、両手で大事そうにマグカップを持って来た。

「この前、A言っとったやん。俺ずっとAんちおるから、俺用のマグカップ用意しなきゃならんなぁって。

だから、今日持って来た！そっそんで、思ったんよ。このマグカップ、Aにも同じもん用意しよって。お揃いのもん…欲しいなぁって…」