コスプレ審神者、ブラック本丸にいざ参る ニ【刀剣乱舞】

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薬「……おい、加州の旦那！すずが怯えている！」


彼女の異変に瞬時に気付いた薬研は、加州からすずを引き剥がした。


加州「え？あ、ごめん！」


加州は薬研に言われてやっと気付いたのか、慌ててすずに謝った。
よくよく見ると、彼女は若干青褪めた顔色をしている。


「……いや、大丈夫」


全く大丈夫そうじゃない声のすずは、桜ノ宮に目を向けると、ふらふらと彼に歩み寄る。


「……ん」


何の前触れも無しに、すずは皆が見ている前で桜ノ宮に抱き付いた。


加州「え？なんで!!」


和泉「……おいおい、マジかよ」


薬「……」


加州と和泉守が驚きの声を洩らす中、薬研はすずの行動が気になった様で顎に手を当て何か考え込む。


「……むー」


桜ノ宮の顎下ほどの身長のすずは、まるで幼子が母親に甘える様にスリスリと顔を擦り寄せる。

それは先程、離れで桜ノ宮がすずにやっていたことの全くの逆だった。


桜宮「あーハイハイ。主ー、もう大丈夫だから、な？」


そんなすずを桜ノ宮は慣れた手付きであやす。

それでもぐずるすずを抱き締めたり、頭を撫でたりしてようやく彼女は落ち着きを取り戻した。


「……うー、ありがとう」


桜宮「はい、どういたしまして」


まだ少し不安そうに見上げるすずを、桜ノ宮は安心させる様な笑顔で頭を一撫でする。


加州「……」


和泉「おい、桜ノ宮。こりゃどういう事だよ？」


和泉守が桜ノ宮に状況を説明しろと詰め寄った。

いきなり近付いてきた和泉守を警戒するように、すずは桜ノ宮の後ろに隠れる。


桜宮「あー……主ね、よくこういう事があるんだ」


でも人前でやるのは珍しいねー、と桜ノ宮は付け足す。


加州「……それ、俺のせいかな？」


黙って見つめていた加州が、ばつの悪そうな顔をして伺う。


加州「俺がさっき、主に告白したから……。主、恋愛にこりごりだって言ってたのに、好きって言ったから……。

俺の事が嫌いになった？」


おろおろし始めた加州を、すずはそろりそろりと近付いて彼の服の袖を軽く引っ張る。
ビクッとする加州を不安げに見上げたすずは、口を開く。


「……ごめん、加州さんは悪くないよ？

ただ昔、知り合いの男の人でトラウマになった事があるから、それと少し重なっただけ……」


ごめん、ともう一度すずははっきりとした声で謝罪した。



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