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三百七十五話 ページ3

今エレベーターで向かっているのは集中治療室。
なんでも、そこにお登勢さんがいるらしい。

やけに時間がゆっくりに感じた。
いつもは気にならないような音が嫌でも耳に入ってくる。


拭いきれないずっしりとした空気の中、開いた扉から聞こえてきたのは怒号だった。



キャサリン「テンメェェェ‼尻尾マイテ逃ゲルツモリカァァ‼
出テクナラテメーダケ出テイキナ‼私ハ…私ハァァァ‼」



銀時に掴みかかるキャサリンの目元ではクマが主張している。
何日もお登勢さんにつきっきりで眠っていないのか。

スナックで働いていたキャサリンの楽しそうな笑顔はよく見ていた。
その分気持ちは痛く辛く伝わってくる。



銀時「ババアが何で一人で次郎長の元へいったかわかるか。
俺達…護るためだよ。それでも死にてーんなら勝手に残って勝手に死にな。

店がたたんだらもう俺達ゃ赤の他人、各々好きにやりゃいい。俺も好きにやらせてもらうぜ」



場違いなほどに淡々と告げるアイツは一見非情なようにも思えた。
けれど、間違ってることは言っていないのが聞いて取れる。


このいざこざにはかぶき町四天王なるものが関わっているらしい。
おそらく四人は町を取り仕切る重役でお登勢さんもその一角。

しかし駒数も戦力もある次郎長一家に目をつけられたとなると、これ以上ここにいるのは危ないんだろう。


スナックお登勢(いばしょ)を護りたい気持ちと、お登勢さんの犠牲を無駄にしたくない気持ち。この場にいる全員、どっちも持っているからこんなことになっている。


もちろん銀時でさえ。



銀時「すまねーな、俺ァ…もう。何も…護れる気が……しねェ」



弱々しくキャサリン達に背を向け、治療室を過ぎ去っていった。
感情が向けられている空気に混ざることなんてできず、影から動けずにいる。

そんな私なんて気づかずに横を通ったアイツは、爪が食い込むぐらい拳を握りしめていた。



詩織「……一旦、落ち着いてください」


キャサリン「デモ‼」


詩織「わかってます!
これで納得いくような人じゃないってことくらい‼」



最初は澄んでいた声が崩れ涙で濡れていく。
宥めているはずの詩織ちゃんの表情は、誰よりも苦しそうだ。



詩織「でも分かるんです‼

血塗れのお登勢さんを見つけた時どれだけ血の気が引いたか‼
どれだけ心臓がうるさかったか‼


…私はもう、あんな思いをしたくないんです!」



泣き叫ぶ彼女は、どれだけ大人びていても子供だった。

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たこわさび - Aさん» 落ちの話ですが今の時点では決まっておりません。そもそも落とすかどうかも決めかねている状態です。まだ未確定の部分もあるのでご期待に添えるかどうかも分かりません。ですが、一つの意見としてしっかり受け取らせていただきます。コメントありがとうございました。 (6月22日 22時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
A - 沖田落ちだと嬉しいです! (6月22日 12時) (レス) @page37 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)
A - 落ちは決まってますか? (6月22日 12時) (レス) @page37 id: f296b2ed74 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たこわさび | 作成日時:2023年5月11日 23時

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