二百七十六話 ページ50
あの後宇治銀時丼なるものに引きぎみになったり、パチ屋に連れられたりと色々あった。
本当に……いいように振り回されたり、いく先々で「財布」と紹介されたり。
色々あった。殴らせてはくれなかった。
屯所に帰っても仕事をほったらかした状態なので何を言われるか考えたら気が重い。
とりあえず、今はコイツを万事屋まで送るか。それでようやく坂田家流地獄ツアー終了。
コイツの謎理論によってオレンジジュースしか飲めなかったのが唯一の心残りかな。
一刻も早くこの状況から開放されたいのもあって、隣の銀時に呼び掛けた。
『オイ銀時、店閉まるから起きろ』
銀時「んぅ……」
だが完全に酔いつぶれててなかなか起きない。
こうなると起こすのに手間がかかるんだよな。
というかこういう場合逆じゃね?
だいたい酔いつぶれた女性を男が運んでそのまま愛の巣へ…って奴がベーシックだよね。
銀時の無駄に色っぽい声にいっそ、そういうどっきりでも仕掛けるかという考えが頭をよぎった。だが事後処理などがめんどくさそうなので思いとどまる。
『おっちゃん、レモンある?』
「あるけど人の目にかけないでね」
手っ取り早く目覚めさせようとしたがそう簡単にはいかないらしい。
なら久々にあれやってみるか。手を一回叩いてから耳元で大声で言う。
『起きろ銀時‼』
銀時「うおわっ⁉」
お、起きた。やっぱ昔からやってるけどコレが一番効果あるんだよ。
少しずつ意識が覚醒してくる銀時に帰宅の趣旨を伝える。
すると立ち上がる気力すら感じさせずに私の方にもたれ掛かってきた。
銀時「お前が運びゃーいいだろ」
なんでコイツは「運んでください」の一言も言えないのか。
これ以上言うと自分に返ってきそうなのでここら辺にして、呆れながらも銀時の腕を私の首に回した。重い、まさに地獄のような一日だったな。この後も含めて。
銀時を運びながら暗い夜道を歩く。
すると居酒屋を出てから一言も発さなかった銀時が、いきなり私にこう聞いた。
銀時「お前、最近どうだ?」
耳元で聞こえる声に少しなれないが、急な問いかけに答えを探す。
いや、答えとかじゃないか。コイツが求めてるのは私の心情。
なら、
『まぁまぁ楽しいよ』
本音を語ればいいだけだ。
その返答に銀時は、安心したような笑みを浮かべた。
銀時「無理、すんなよ」
ふいにそんな言葉が聞こえる。
ズルい。普段なら言わないような事は、全部酒のせいにして。
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たこわさび - めぐぽん(*´・∀・)さん» こんにちは、一気見していただきありがとうございます。本作品は恋愛要素がゼロに等しいですがそこまで読める何かがあったと思うと嬉しいです。新ジャンル開拓のお手伝いになれればと思います。 (2023年3月2日 23時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんにちは^_^一気見させて頂いてます。正直、恋愛ものが好きだったのでここまで読めると思いませんでした。楽しいです。 (2023年3月2日 18時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
たこわさび - ふじゆずさん» 銀魂を読み返してくれるきっかけになったのなら嬉しいです!こちらこそありがとうございます‼無理しない範囲で更新続けていきますね! (2022年11月5日 22時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
ふじゆず(プロフ) - すっごい面白いです!!(語彙力)この作品見て久々に銀魂読もうと思いました!!ありがとうございます!!(?)無理しないでください!!ありがとうございました!!(?) (2022年11月5日 21時) (レス) id: af6d5fb7bc (このIDを非表示/違反報告)
たこわさび - さちさん» コメントありがとうございます!更新を楽しみにしていただけて光栄です。これからもがんばります。 (2022年11月4日 22時) (レス) @page10 id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たこわさび | 作成日時:2022年10月25日 18時