二百七十一話 ページ45
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墓地から帰って屯所の自室に戻ってきた。息をつき、持ち物を床に乱雑に置く。
ため息が口からでた直後、私はあるものが置かれている場所へと目をやった。
…タイミングがあるとしたら今か。
そのあるもの…桐箱へと手を伸ばす。
箱の表面を撫でると木の上品なさわり心地がするので、恐らくいい材質なんだろう。
そんなことを考えながら、私は蓋を取った。
コレは伊東くんが亡くなって数日後に届いた刀。
桐箱ごと届いたがなんとなく開ける気がしなかったのと、刀を借りたままだったのでずっとさわらずにいた。
だが開かない理由はなくなったので、半ば使命感のような形で桐箱と向き合う。
『……』
見ると、コロコロも音楽機器としての機能もついていない一刀の刀が収納されていた。
だけれど綺麗な銀色の光を放っていて、職人の魂がこめられてつくられたのがよく伝わってくる。それに、どれだけ大切にここまで運ばれてきたのかも。
そういえば、刀が届いた後伊東くんが予定を狂わせるの珍しいと思って宅配業者に連絡したんだっけ。
話を聞くとどうやら元々この日付に配送日が設定されていたらしい。
一方伊東くんはトラブルで遅れると言っていた。この矛盾、解けなかったな。
もしかして伊東くんが暗殺計画成功しててもこれぐらいの日数で事が終わってたりして。
『……あれ?』
その時、私の頭の中にある電球が一瞬光った気がした。
伊東くんはあえて刀が届く日を遅らせた。
私の刀が無いのを知ってたからわざわざそんなことをする必要ないはず。
業務に支障が出るし、借りれなくなった場合私が戦えなくなる。
…もしかしてそれが狙い?
でも戦力が欲しかった場合メリットなんてないし…。
___『体は大切にしな‼』
いつしかの自分が言った言葉が頭を横切った。いや、さすがにそれは…まさか。
もし、性格を読んで私がどっち派にもつかないとこまでが計算されていたら。
二つに割れた隊内でたった一人の孤立した派閥。間には入りづらい。
そして私は手を出すこともできずに争いをただ傍観するしかなくなる。
多分これが、伊東くんの脳内で描かれていた私の立ち位置なんだろう。
全部、わかってたのかな。
ただ一つ計算外だったのは、近藤さん暗殺計画を聞かれたことか。
そのとき、桐箱から一枚の紙が出てきた。丁寧な文字でこう書かれている。
〈また二人で飲みに行こう〉
あと、何年かかるかな。
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たこわさび - めぐぽん(*´・∀・)さん» こんにちは、一気見していただきありがとうございます。本作品は恋愛要素がゼロに等しいですがそこまで読める何かがあったと思うと嬉しいです。新ジャンル開拓のお手伝いになれればと思います。 (2023年3月2日 23時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんにちは^_^一気見させて頂いてます。正直、恋愛ものが好きだったのでここまで読めると思いませんでした。楽しいです。 (2023年3月2日 18時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
たこわさび - ふじゆずさん» 銀魂を読み返してくれるきっかけになったのなら嬉しいです!こちらこそありがとうございます‼無理しない範囲で更新続けていきますね! (2022年11月5日 22時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
ふじゆず(プロフ) - すっごい面白いです!!(語彙力)この作品見て久々に銀魂読もうと思いました!!ありがとうございます!!(?)無理しないでください!!ありがとうございました!!(?) (2022年11月5日 21時) (レス) id: af6d5fb7bc (このIDを非表示/違反報告)
たこわさび - さちさん» コメントありがとうございます!更新を楽しみにしていただけて光栄です。これからもがんばります。 (2022年11月4日 22時) (レス) @page10 id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たこわさび | 作成日時:2022年10月25日 18時