二百七十話 ページ44
すると黒髪くんからすすり泣くような音が聞こえてきた。
下手に私に背中をさすられるのも嫌だと思うのであえて黙って見守っている。
「んっ…せん、せ」
うん、それでいいんだ。
懐からポケットティッシュを出して、そっと黒髪くんの前に置く。
暫くして嗚咽が止んでティッシュへと手がのびた。
目元が赤くなった顔が見えるようになる。
『君、名前は？』
鼻を噛んでいる途中、まだ知らなかったなと思い聞いた。
私がそう問うと少し気が乗らなそうに渋々、という感じで言う。
「
偶然、“南”仲間だ。
黒髪くんはまだまだ涙声だけど少し落ち着きを取り戻してきた。
表情を見みると泣く前よりかは、どこかスッキリしているようだ。
南村「……今日、頭の整理がついたら、職でも探そうと思う」
『うん』
一度自分の中で区切りがついたんだろう。これが南村くんの一歩って訳か。
そして最後に、私が一番大切だと思っていることを一つ。
『あと、痛みを共有できる人と側にいな。
お互いの背中をさすりあえて、腹割って話し合える人。
そんで気の済むまで泣いたら、美味しいものたくさん食べて寝な』
南村「…嗚呼」
人間の三大欲求の二つをおろそかにしちゃいけない。
それを満たすことによって、頭が整理されて物事の判断をしやすくなるだろう。
南村くんの顔はよく見えないけど落ち着いたかな。
『それとハイ、伊東くんのこと思い出したくなったらここに連絡して』
おまけ程度に、持っていたメモ帳に自分のメールアドレスを書く。
そのメモを切り取って南村くんに差し出した。
『私、鴨くんの良いところたくさん知ってるから』
相手が立ち上がって驚いたように目を見開く。
戸惑いながら、私を正面から見てこう尋ねた。
南村「なんで、真選組の筈なのにここまで…」
私はその問いにとびきりの笑顔で答える。
『今の私は総長なんかじゃない、ただの鴨くんの親友だよ』
親友としてここに来て、南村くんに話しかけた。
だって、親友の弟子が苦しんでるのに見捨てておけないし。
南村くんの様子を見てそろそろ退き時だと思い、来た道を振り替える。
そうしていると、背後から声が聞こえてきた。
南村「俺はまだ、真選組が苦手だ。
…だが、先生の友好関係は信じることにする」
驚きで振り替えったら南村くんがメモをじっと見つめている。
これはメールの返事、期待してもいいのかな。
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たこわさび - めぐぽん(*´･∀･)さん» こんにちは、一気見していただきありがとうございます。本作品は恋愛要素がゼロに等しいですがそこまで読める何かがあったと思うと嬉しいです。新ジャンル開拓のお手伝いになれればと思います。 (2023年3月2日 23時) (
レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´･∀･)(プロフ) - こんにちは^_^一気見させて頂いてます。正直、恋愛ものが好きだったのでここまで読めると思いませんでした。楽しいです。 (2023年3月2日 18時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
たこわさび - ふじゆずさん» 銀魂を読み返してくれるきっかけになったのなら嬉しいです！こちらこそありがとうございます‼無理しない範囲で更新続けていきますね！ (2022年11月5日 22時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
ふじゆず(プロフ) - すっごい面白いです！！(語彙力)この作品見て久々に銀魂読もうと思いました！！ありがとうございます！！(？)無理しないでください！！ありがとうございました！！(？) (2022年11月5日 21時) (レス) id: af6d5fb7bc (このIDを非表示/違反報告)
たこわさび - さちさん» コメントありがとうございます！更新を楽しみにしていただけて光栄です。これからもがんばります。 (2022年11月4日 22時) (レス) @page10 id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たこわさび | 作成日時：2022年10月25日 18時
