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四百七十八話 ページ9

思い返すんだ、旦那は腐れ縁だったAさんに忘れ去られ厚い信頼で繋がっていた万事屋の二人に拒絶の色をを濃く出されておまけに罵倒までされていた。


Aさんと会ってまだ日も浅い上に神楽ちゃんと新八君とは友達止まりの私はまだダメージが少なくすむはず!

私まで落ち込んでたら誰が旦那を引っ張るんだって話だ。
心の中で自分に鞭をうち背筋を伸ばす。


あの三人の去っていく姿を思い返すと今でも気分が沈むがうじうじしてても仕方ない。



詩織「旦那、これからどうし…」


銀時「オイ!これ見ろ‼」



ひとまず坂田金時の情報を集めたりするか奇跡的に記憶が残っている人を探すか、などこの先の方向性を決めようと話しかける。

すると険しい表情で旦那がスマホをつき出してきた。
これは…さっき坂田金時を殴ってたスマホ?



詩織「これは…」


銀時「ほら!」



そのスマホに映っていた画面は「ヒロインが可愛すぎる」の1シリーズ目。
六話目の「喧嘩はグーでやるべし」の時か、旦那とAさんが再開する回。

やっぱ文章はまだ拙いところがあるななんて呑気に見ているとある一文が引っ掛かる。



〈『きん…と、き?』
だってそこには、見慣れた金髪が立っていたんだから。〉



詩織「……金?」



ぎょっとして目を見開かせながら旦那に視線をやるとうなずきが返ってきた。
そのままスクロールすると出てくる出てくる、Aさんと“坂田金時”の万事屋設立シーン。

どうやらこの世界線では旦那は二十年来の幼なじみというバリバリ王道ヒロイン設定のAさんと一緒に、万事屋の基盤を作り上げよき仕事仲間として一緒に働いているらしい。


私の知っている真選組総長のバリバリ王道夢主設定のAさんと何もかも違う。

じゃあさっき合ったあの人はどうなるんだ?
Aさんが真選組じゃないなら私も真選組に入れてなかったんじゃないか?


処理しきれない情報の中旦那の手から携帯をもらい、苦渋を飲むような顔で折った。



詩織「解釈違い!」


銀時「……どうしろっつーんだよ」



道の真ん中でうなだれる私と旦那を避けていく町の人にすら疎外感を感じてしまう。
…やるとしたら坂田金時の招待探しからだろうか。体も気分も重い。



詩織「あ!……はぁ」



声もかけずに横を通りすぎていく妙ちゃんと九兵衛さんに、少しでも期待を抱いてしまったのは仕方ないんじゃないだろうか。

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作者名:たこわさび | 作成日時:2023年10月9日 22時

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