五百四話 ページ35
そろそろ詩織ちゃん達の坂田金時撲滅作戦が始まった辺りかな。
銀髪と黒い長髪を探すふりをしながらそんなことを考えてそこら辺の街並みへざっと目を通す。
捜索の手は無数だがまぁアイツと詩織ちゃんだったら上手くやるだろう。
『にしても自作自演でここまでできるとはね、容赦ないというかなんというか……』
金時「非人道的、か?」
『言葉にすればね』
隣を歩いている坂田金時をチラリと横目で見てそう溢す。
そもそも人間じゃないんだから今更って気もするが。
町民総出で銀時と詩織ちゃんと定春を探している中主人公(仮)の隣で幼馴染ポジションとして町を練り歩く。
あの二人と一匹がどう攻略しようとしているかそっちのけで金時とグダグダ話しているだけだけど。
金時「オイオイ、ひでェこと言うな。
俺だって心が痛む瞬間ぐらいあるぜ」
『ふーん、それって間違えてロケットパンチで民間人傷つけた時?
それとも……からくりをめっためったにして左腕をもいだ時?』
金時「はっ、ちょいとブラックが過ぎんじゃねェか」
世間話の皮を被り何気なしにそう告げると金時が鼻で笑った。
わかってるって、今の私はあくまでも坂田金時側だ。
疑惑を向けるような彼の視線から目を逸らしつつ意識を夕飯のことやらなんやらに注ぐ。
金時「まァ、一つ例えを出すならば」
軽く自分の肩を揉んで歩き進めているとふと金時の歩みが止まった。
『金時?』
開いた距離が気に留まり顔だけ後ろへ向ける。
すると視界に入ってきたのは、突きつけられた一本の木刀だった。
金時「長年連れ添ってきた幼馴染を切り離す時、とかな」
彼のその行動に困惑してざわめくギャラリーの声をBGM代わりにし、ため息をついてからただうっすらと笑みを浮かべる。
金時「坂田銀時を庇うような発言、早瀬詩織を支援するような言動、そしてアイツらへの手助け。
A、お前は疑惑を積みすぎた。」
『こういうところが怖いんだよ金時は、裏切りの種を見つければ直ぐ潰そうとする。
ジャックの豆の木ぐらい成長して助けになるかもしれないのに』
金時「どうせ最後になったら切り落とすんだ、変わりはない。お前ともここまでと思うと悲しいよ」
嘆く私をよそに白々しく町人に向けて話しているのか金時が演技がかった口調で淡々と言葉を発していく。
『私みたいな優秀な戦力を手放すなんて、君も不幸だね』
金時に負けじと私は余裕気な笑みを浮かべて言い放った。
360人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たこわさび | 作成日時:2023年10月9日 22時