四百七十三話 ページ4
銀時「まぁそれはともかく、真面目ちゃんも俺と同じような状況ってことでいいんだな」
詩織「はい、万事屋に顔を出したら誰一人私のことを覚えてなくて…。
あの坂田金時という男が関わっているのはわかるんですがそれ以外はさっぱりです」
旦那のメンタルが回復されてきた頃、一度話を聞いて情報を整理する。
けれど旦那も忘れられていることがわかっただけで打開策などは見えてこない。
詩織「あの男について町の人に聞いてみます？
なにか怪しい動きとかを追えるかもですし」
銀時「いや、それは相当望み薄だぜ。
さっきちょろっとアイツの噂を耳にしたが、出てくるのはやれ頼もしいだやれ信頼できるやらでクリーンなモンばっか。ボロを出してるとは考えづれェな。
あんなに周りから持ち上げられてんのなんてアソパソマソぐれェだぞ」
詩織「一応●用意しときますね」
それにわかってきたが坂田金時は人望もあって金回りもいい完璧超人らしい。
万事屋の依頼はささっと解決、店はいつも賑わい見返り関係なしに困っている人を助ける等。
旦那の言い分もあながち否定できない様子。まるで旧万事屋とは大違いだ。…いい意味で。
そとっ面が良ければ良いほどそれに反抗しようとしている私たちの立場は危うくなってくる。
旦那が長年かけて積み上げたものだというのに腹立たしい話だ、Aさんの件も。
銀時「じゃ、一先ず俺は行ってくるよ」
詩織「どこにですか？」
銀時「…………どこに？」
どうにかできないもんかと頭を回していると旦那が万事屋の方を向いた。
“行く”なんて言っても私と旦那は町中の人に忘れ去られ行く宛はない。
不思議に思って聞き返すと旦那は鬼の形相で告げる。
銀時「貞操観念ガバガバのやり●●淫乱団地妻をぶっ殺しにな」
詩織「放送コードォォォォォォ‼」
アダルトな文言を道のど真ん中で言う旦那に焦りつつ、感情的なままではいけないと止めるために旦那の着物の裾を引っ張った。
銀時「“あれどちら様”だァ？“くるくるパーな頭ですね”だァ？
天パの俺と数日もしないうちに洗脳されたお前のどっちが頭くるくるパーなんだろうな‼
何十年の付き合いだと思ってんだ‼マジで豆腐の角で頭殴ってやろうか、あ゛あ゛⁉」
詩織「旦那落ち着いてください！」
旦那の一言一言には今までの恨み辛みがピーマンの肉詰めのようにぎっしり詰まっている。
十年来の友人に忘れられたら腹が立つのはわかるので強く言えなかった。
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作者名：たこわさび | 作成日時：2023年10月9日 22時
