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四百八十七話 ページ18

金時「っつーか、何でお前は記憶あんだよ」


『最大の謎きいちゃう?』



なんだかんだ色んな出来事を茶化しつつも社長椅子の回り具合を堪能していると、金時が怪訝な顔をしてきいてきた。

金時と向き合ってどこか意味ありげに首をかしげるが妥当な疑問だろう。


詩織ちゃんはまだ出張で遠くに行っていたからでわかる。
だが私は普通に真選組にいて普通に過ごしていた。

ぶっちゃけ私もみんなと同じように洗脳される条件しか揃ってないのだ。



『ま、強いて言うなら私と詩織ちゃんの愛の力ってとこかな』


金時「脳細胞が単純すぎると逆に催眠がかからない場合があるのか…」


『私なんかしたっけ』



少しおちゃらけて返すと悪意がないと絶対に出てこないような呟きが耳に入ってくる。
協力関係にある上にまだ知り合って数日しかたってない、おまけに心当たりなし。

…もしかしたら誰かに嫌われる才能が眠ってるのかもしれない。



『けど私の記憶がバッチリ残ってるのは事実だよ。
他に私みたいな取りこぼしがあったら大問題じゃないの?』


金時「お前が特別なだけだろ、他の奴らは抜かりない。
なんせ俺は欠点がない究極生命体もとい完璧なリーダーだからな」



胸を張って語る金時は色々不本意だが文明の利器に勝ったのは結構すごいのでは。

自慢する相手というか自慢できる相手は現状一人もいないけど。
やっぱ白雪姫の時代から愛で大体なんとかなるからね。



『私は詩織ちゃんの好きな食べ物も銀時への恨みも、ましてや貸した金の金額も寸分違わず記憶してるよ』



今まさに町中の記憶を戻そうと奮闘している二人を思い浮かべて社長椅子に体を沈めた。
詩織ちゃんの活躍を間近で見れないのは惜しいが金時側についた宿命とでも言うべきか。

私もストレートに銀時側についたなら、なんて今更ながら思うも後の祭りって奴だ。



金時「お前の気色悪いぐらいの詩織ちゃんへの執着が邪魔してんのかねぇ。
けどホントによかったのか?もう後戻りできなくなっちまったろ。

俺が完全に乗っ取った時、死ぬほど気まずいと思うけどな」


『女に二言はない!…あと』



金時がニヤッと効果音がつきそうな私が待ち望んでいたような悪役の笑みを浮かべた。

やっぱり金時はまだまだ私のことを理解していない。
キッパリと悪役加担宣言をしてから余裕をこく金時を見やって言った。



『アイツは、そうそう折れるようなタマじゃないよ』



それも理解して私は金時についている。

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作者名:たこわさび | 作成日時:2023年10月9日 22時

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