検索窓
今日:35 hit、昨日:90 hit、合計:20,853 hit

四百八十三話 ページ14

「銀色の髪の男性を見なかったか」


万事屋での一件で肩身は狭かったが聞き込みの甲斐があり無事旦那を発見できた。
…いや、“無事”というにはこの状況は惨すぎる。旦那を一人にさせるのは愚策だった。


そんなことを思いながら、ごみ捨て場に埋もれている旦那に歩みよる。



詩織「…旦那」


銀時「…………」



じっと地面を見て俯く旦那に声をかけるも何も発さず黙ったまま。
絶望具合、捨てられた上野良犬の群れにさえ馴染めなかったような犬の目。

それらを見てなんとなく旦那の身に何が起こったのかを察してしまった。


旦那を休ませるといっても坂田金時と接触するリスクがある。
にも関わらず旦那を一人にさせてしまった私の判断ミスだ。

坂田金時はここまで人を打ちのめして何がしたいのか全くわからない。



詩織「立ってくださいよ、万事屋を取り戻すんでしょう?」



苦い顔で告げるがピクリとも動かない彼にしゃがんで目線を合わせた。
「旦那」ともう一度呼び掛けるとしばらくの沈黙の後弱々しく言い捨てる。



銀時「もう、ほっといてくれよ」


詩織「そんなこと…!」


「アンッ」



弱気になっている旦那に反論しようと口を開いたとき、私の背後から犬の鳴き声がした。

野良犬かそれとも散歩中の犬が偶然通りすがったのか。


どっちにしろ気になり視線を声の方へと向けると、見知った飼い犬がお座りをしているのが目に入る。
鳴き声の後「やっと」と続いたその声は紛れもなくスナックお登勢の看板娘さんの声だった。



たま「やっと見つけた。
捜しましたよ、銀時様に詩織様」


銀時「たま…?」


詩織「たまさん⁉何で…」



柔らかく笑うたまさんから当然のように出てきた旦那の名前に二人揃って目を見開かせる。
定春君とたまさんだけなんで記憶が残ってるんだろう。からくりと動物だから?

驚きつつも次から次へと沸き上がってくる疑問にフリーズしていると、たまさんが冗談めいた口調で言った。



たま「たとえ世界中が銀時様と詩織様を忘れても私のデータからアナタ方が消える事はありません。
寝る時はちゃんとリセットを押しながら電源を切ってますから」


定春「わん」



たまさんの言葉に定春君が相づちを入れるように一声入れる。

今の今まで万事屋の二人とAさんに町の人々、当然の事だがもれなく距離があったのでいつもの会話のトーンで話されるだけで暖かさが身に沁みた。

四百八十四話→←四百八十二話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (47 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
360人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 原作沿い
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たこわさび | 作成日時:2023年10月9日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。