百九十三話 ページ13
よくよく考えれば蔵場当馬のことを長く隠せる筈ない。いつか必ずボロが出てしまう。
だけれど幸せに？バレたときの絶望が大きいことに変わりはない。
完璧に隠しとおせるとしたら数ヶ月などの短期間だろう。
……もしかして。
最悪の状況が、私の頭に浮かび上がった。
沖田「…ねーんです。
もう…長ェこと…ねぇみたいなんでさァ」
総悟が消え入るような声でそう言った。
そっか、だから。総悟の言う通り逮捕するまでの日程を伸ばしたらミツバさんが亡くなってしまうまでは夢を見せられる。それが例え、すぐ終わってしまうものでも。
沖田「やってられねーよ、小さい頃から親の代わりに病弱な身体をおして俺の世話ばかりでよう。自分のことほったらかしで…婚期も遅れちまって。
ようやく幸せ手につかんだと思ったら…
…せめてよォ、死ぬ前に一時でも人並みの幸せ味わわせてやりてーんですよ」
総悟の姿は見えなくても願いの強さは伝わってくる。
なんとか、ミツバさんが生きられる方法はないのだろうか。
今日少しの時間会っただけでも人の良さが感じられる素敵な人だった。
なんで、あんな素敵な人が亡くならなければいけないのだろうか。
空を見つめていた視線を足元に下げる。
沖田「…見逃せとはいわねェ、ちょいとだけ時間を…
土方さん、姉上がずっと結婚しなかったのはアンタのこと…」
土方さんに頼みなんとか期限つきで蔵場当馬を逮捕しないでほしいと言う総悟。
だけれどそんな総悟に背を向け、見向きもせず冷たくこう言いはなった。
土方「取引は明日の晩だ。刀の手入れしとけ」
そう言いタバコを吸いながら稽古場を去っていく。
それはつまり、ミツバさん関係なく蔵場当馬を捕まえるという事。
ミツバさんの幸せを奪いたくない。だが私には土方さんの決定を変える権限も力もない。
私は、なにもできない。
沖田「土方ァァァァァァァァァァァ‼」
総悟ががむしゃらに土方さんの方向に駆けていく。
だけれどその状態で向かっていっても勝てる筈なく、土方さんにやられ総悟は地面に倒れこんだ。
土方「しらねーよ。
しったこっちゃねーんだよ、お前のことなんざ」
土方さんが総悟との戦いでついた傷をさすり、総悟は土方さんを倒れた状態から睨む。
私はそんな二人を見て、ぬるくなってしまった水とタオルを稽古場の近くに置くことしかできなかった。
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たこわさび - ミスティさん» 好みだなんてそんな…嬉しい言葉ありがとうございます！更新は無理のない程度でやっておりますがそのような言葉をいただくとやはり心にくるものがあります、ありがたいです！無理のない範囲でやっていこうと思います！ (2022年10月3日 22時) (
レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
ミスティ - この小説を読ませて頂いてますが、自分好みの作品でめちゃ好きです！更新頑張って下さい！！応援していますが体調にもお気をつけて下さい！無理なさらずに、、 (2022年10月3日 17時) (レス) @page26 id: bd5baed227 (このIDを非表示/違反報告)
たこわさび - ラウトさん» 「ワクワクが止まらない」と言っていただきありがとうございます。毎日楽しみにしていただいていることが分かりとても嬉しいです！これからも更新がんばります！ (2022年9月11日 23時) (レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
ラウト - 毎日お話の更新お疲れさまです。毎日「今日はどんな話を見れるのだろう?」とワクワクが止まりません!!忙しいと思いますが、これからも更新頑張ってください。応援しています!!! (2022年9月11日 23時) (レス) @page5 id: 698653cd83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たこわさび | 作成日時：2022年9月8日 22時
