【d!】存在証明Q.E.D (ページ3)

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第2話　路地裏の過去ページ3

そこから話は早かった
父は貯金のお金を使って夜の街へ出掛けた

母はこれからどうすれば良いの？が口癖になって
段々と痩せ干そって鬱になっていった

勿論喧嘩も多くなって、夜リビングへ耳を澄ませば
怒鳴り声と泣き声が混じって聞こえる事も多くなった

結局家のローンも払えなくなって
父はそれでも懲りずに夜の街へ出掛けた
そして学費も払えなくなって私は中退を余儀なくされた

ピンポーンと家のチャイムが鳴ってモニターから覗けば
借金取り立ての人がモニターカメラに顔を近づけて怒鳴られる事もあった

最終的には母が首を吊った
少し外へ出掛けていた時に首を吊ったのだろう
母は父の分働いてたのだがやり口が汚かった

要は働いてた店の店長と寝たのだ
給料を上げてもらっていたと思う

でも頑張って働いた金は全て父の懐へと入っていった
精神的にも肉体的にも疲れたのだろう
葬式はしなかった
お墓もたてれなかった

お金がないから仕方ないのだ
そう思ってた
父は家にあったありったけの金を持って失踪した

母の保険金だ
許せなかった
連絡は勿論、行方すら分からなくなった
父の電話をかけても"お掛けになった電話番号は..."と流れるだけ

祖母達も連絡が付かないのだろう
自宅電話がかかって来たとき
祖母の怒鳴り声が聞こえた
逆ギレされて意味も分からなかった

全て変わってしまった時でも一つ変わらなかった物
借金返済を求めて黒いスーツの人が週に3回程来た
息を止めて、物音すら立てない様にした

でもすぐにバレた
夜、家から出て気分晴らし何処かへ行こうとしたときだ
黒いスーツの人達が曲がり角から出てきた

私を見つけると
男の人達は"あのガキを捕まえろ"と大きな声で言った
命の危機を感じた。このままでは駄目だと

走った、思い切り走った

昨夜雨が降ったから水溜まりがあった
でも気にせず走った

路地裏に入って一息
その日からも地獄だった

カラスの様にゴミを漁った
食べれそうな物なら腐っていても食べた
お腹がいたくなっても耐えた

動けなくなるよりはマシだから

そんな事を続けて数日
地盤がグラリと揺れた

何だ？と思って路地裏から顔を出した
そこに居たのは街のビルよりデカイ化け物がいた
皆悲鳴を上げて逃げた

ろくに動けない私は匍匐前進するように街に出た
でもすぐに化け物に気付かれた
こちらへ段々向かってくる

嗚呼。
私の人生はこんなんなのか
クソな人生でも良いからもう少し生きたかったなぁ

その時目の前が光に包まれた