168話 燈のメガネ ページ20
Aサイド
『……私みたいにならなくて、いいと思いますよ』
漏れ出した声は、自分のものとは思えないほど弱々しかった。
『……雄英に来るまで、ヒーローが嫌いだったんです。影で血に濡れる人たちのことを知らずに、自分たちが世界の正義を代表してるみたいな傲慢さが嫌いでした』
でも、私も一緒だった。
私は私の嫌いな人たちと違う、そう思いたかっただけ。弱さから目を背けた。都合のいい
人の思いを掃うはずの人間が、思いに取り憑かれて世界の見方を歪めてしまった。
知らない人に会った。知らない世界を見た。
ヒーローも呪術師もヴィランも関係ない。
みんな、所詮一人の人間だったんだ。
『でも違いました。彼らは知らないだけだった。どれだけ強い力を持っていても、どれだけ高尚な理念があろうと、所詮はみんな、一人の人間なんです』
強さは人それぞれだけど、私は私を誇って最期まで生きていたい。
でもその誇りのために他の誰かを傷つけてしまったら、それはあの呪詛師と同じになってしまう。
『ヒーローも呪術師も、本質は一緒なのに、分かり合えないと誰かが決めてしまった。その先入観で、色眼鏡で見たから』
あなたたちを対等に見れなかった。
色眼鏡で見られるのは嫌だったはずだ。私は嫌いな人たちと同じ世界で生きている。同じ未来を生きていく。
ならどうか、その同じ未来を見る人たちを、透明な眼鏡で透かしてみたい。ぼやけた像じゃなくて、歪んだ像じゃなくて、ありのままを見たいと思った。
道を照らす
世界をどうか、透明に見てみたい。
瀬「……そっか」
親父のことも、過去のことも、どうでもいいと思えた。
その日はよく眠れた。満月が煌々と光を振り撒いていた。
照らされた道の先が、柔らかな未来でありますように。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1575人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yui(プロフ) - ゆうさん» 私も愛してます！！((((ありがとうございます！ 一回書き方の修正入れるかもなんですが……やっぱり台本書き文字数食うのでチートと揃えようかと。テスト明けにやる予定です！ (9月7日 17時) (
レス) id: 273fd39d94 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 更新楽しみにしてます！！夢主じゃないのほうもだけどこっちも大好きです！！！！愛してる！！！！ (9月7日 10時) (レス) id: 93da094e66 (このIDを非表示/違反報告)
寝子／猫 - ありがたやぁ〜 (8月18日 15時) (レス) @page5 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 寝子／猫さん» 相当嬉しいですねそれ！ 私が北海道大好きなので、せっかくならそっちを舞台に書こうかなーと思って書きました！ (8月18日 7時) (レス) id: 02206b89b3 (このIDを非表示/違反報告)
寝子／猫 - 道民からすると推しが北海道来てくれるぐらい嬉しい！！ (8月17日 22時) (レス) id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yui | 作成日時：2023年8月14日 10時
