初期刀 ページ25
何もかもどうでもよくなって、俺は一人、本丸を発った
誰かに何処へ行くのかと問われた
俺はただ、実家とだけ言った
布を被り、ゲートを抜け、とても見覚えのある建物へと入り...長い廊下を進み、大きな扉を開ける
役人「良く戻って来た。山姥切長義」
扉を開けて、向かい側に座っていた人間は
俺をその目で認めるとそう言って微笑む
役人「やはりお前の居場所は、此処、政府にしかない」
「...」
男の言葉を聞き流し、俺はただじっと黙っていた
役人「あの本丸の子供が死んだみたいだな。よくやったぞ、“お前が報告をしてくれた”おかげだな」
「...」
役人「もう猿芝居はいい。通常業務に戻れ」
俺は..所謂スパイとしてあの本丸に送られていた
報告をする為に、順応したように偽り、奴等の警戒心を躱し...本当は、あの本丸に居た
だが..その立場は容易く覆された
Aによって...そして、あの本丸の刀剣男士達によって容易く崩されたんだ
山姥切《長義、俺はお前を信じてる》
偽物君も
南泉《確かにお前は好きじゃないけど..信じてない訳じゃない...にゃ》
猫殺し君も...
どいつもこいつも、疑う事をせず
Aの初期刀として俺を見ていた
..信じてくれていた
“俺のせいで、あの子が死んだ”だなんて
夢にも思ってないんだろう
俺が報告をしていた為に、あの女が来た事も
奴が契約書を所持していたのも..気付いてない
三日月《この本丸に来たからには、あの子だけに尽くせ》
このまま此処に居れば
彼等から危害を加えられる事はないだろう
腐っても監査官をやっていたんだ
奴等に躾をされた様に魅せる芝居くらい簡単だった
初めて奴等と会った日
..すぐにでも消すべきだと、そう思っていた
異分子で亜種の奴等を生かしておく理由はないと
そう思っていた
だが...Aが死んで、嘆き、哀しみ、泣く姿
は普通の奴等となんら変わりのないように見えた
━━━━━だから...俺は..
役人「どうした。黙ってないでデスクに着け」
「...俺に指図するな」
役人「何をいっている」
「俺の居場所はあの本丸だ。俺の主はあの子だ...俺に指図していいのは...A一人だ」
俺は、あの子の刀となろう
監査官という立場は要らない。俺は俺、山姥切長義だ。山姥切の本歌であり、あの子の初期刀.....政府の犬じゃない！
役人「血迷ったか..！」
立ち上がる役人共を見据え
「この世界から消え失せろ」
何かを叫ぼうとする奴の喉元を
俺は素早く切り裂いた
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机の上にも三年 - この作品とっても良かったです 話を途切れさせるのが嫌で夜一気読みしてしまいました（笑）更新頑張ってください (9月15日 22時) (
レス) @page36 id: 1ca09d8d18 (このIDを非表示/違反報告)
虎(プロフ) - すごい好きです (2023年1月10日 13時) (レス) @page36 id: 35d9ffe491 (このIDを非表示/違反報告)
やまは(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！あぁ〜、ここで更新停止かぁ…！とも思ってしまいました笑いつかこの作品の続きが読めることを楽しみにしております (2022年3月16日 23時) (レス) @page35 id: d3221d33a6 (このIDを非表示/違反報告)
星邪(プロフ) - お話にのめり込んで一気に読んじゃいました！主人公と自分重ねて読んじゃうところがあって、凄く頑張って！って気持ちになりました！言葉で表せないくらい凄い作品でした！更新まっていますね！ (2020年7月28日 19時) (レス) id: c3541498d1 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの出来損ない - 長文失礼します。一気に読ませていただきました。最初から、この主人公は自分と同じだと、勝手に重ねて読みました。何度も何度も涙が出て、こんなにもいい小説に出会えて本当に嬉しいです。素晴らしい作品を作っていただき、ありがとうございます。 (2020年1月12日 21時) (レス) id: feab841105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風船ガム | 作成日時：2018年11月23日 19時
