食の好みは、どちらかというと洋食な審神者です。 ページ6
「急いで、呼びに行くか。」
「あいつ戻ってきたら、野菜の刑だな。」
伽羅ちゃんと、田貫の目がマジだった。御手杵にあった時に今日の夕飯当番のことを思い出すべきだったなぁ、とちょっとだけ申し訳なく思ったが忘れている奴のほうが悪いと思ったので、ここは素直に自分のことをかわいがろうと思う。
ちなみに、野菜の刑というのは遅刻した人に良く使われる、野菜を加工する係という名の雑用だ。二人、厨から抜けて残ったのは巴ちゃん、静だった。割と無口な刀が残ってしまった。
「もー、御手杵ってば何やってるんだか。ね、巴ちゃん」
「あぁ、主よ、そこは俺がやろう。そこに座ってくれ。」
「いや、お手伝いするよ。これは、任せるにしても何かやることないかな。之でも、料理は自信あるほうなんだけど。」
「ならば、味見を頼もう。俺らのからだの中心である主の味覚でうまいと判断されればわれらもおいしいと感じるだろう。」
静からも座っていて構わないぞ?、と言われてしまった。彼らのことだから、邪魔という意味ではないことは分かるが、本丸の主としてみんなのためになることはできるだけ自分の手でしてあげたい。とりあえず、おとなしく座ったが、動きたくてうずうずする。黙々と作業に取り掛かっているから、なんとなく話しかけにくいし、ここを動いてしまったら本当に手伝う気があったのか、疑われちゃう。…、うちの子たちに限ってそんなことはないんだけれど、自分のプライドが許さない。
しばらくして、どたどたという足音が厨に近づいてきた。伽羅ちゃんと、田貫が御手杵を持ってきたんだろう。
「帰ったぜ。まかしちまって悪かったな。」
「すまん!今日の当番だったことすっかり忘れてたよ。今から挽回するから、許してくれー!」
「いや、大丈夫だ。人の体を手に入れたんだ、誰だってそのくらいの過ちはある。」
御手杵は、腕まくりをしてやる気満々という様子を見せていた。私はというと、私の前を素通りしようとしていた伽羅ちゃんの袖をつかんで、引き留めた。
「私も料理したい、」
「すればいいだろ、…、野菜の皮むきを頼む。」
伽羅ちゃんは、私の言いたいことが分かったらしい。私は、顕現してから初めて厨の係になることかのときにお邪魔すると、大体やらせてもらえないのだ。主であるという念が強いんだろう。
続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←本丸でいちばん好きな場所?なんだかんだ言ってみんながいるところかな。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2021年10月16日 16時