【Fischer's】前途多難な恋だから * モトキ

壁１枚 * 03 ページ48

シルク side

"シルクはどう思う？"

マサイからの流れ弾。コイツが一番あの二人のじれったい関係に気づいていいポジションなんだが。ニヤケそうになる表情を押さえて答える。

シ「なにが？」

マ「モトキとAちゃん！進展見込み！」

進展もなにも皆して気づいてないだけで、二人はもう既に両思いだ。"好き"を伝えればめでたく結ばれる、その一言待ちだと言うのに。

シ「んー、まぁ、俺としては早く進展して欲しいけど、最近のモトキへたれてっからなー」

俺が"両思いだよ"って伝えるのは絶対に違う。
これはコイツとAちゃん、二人の問題。モトキが男をみせて告白すれば解決する話だ。

ン「そーなんだよなー、もっきゅんさては奥手か？いっそのことクリスマスに告るってのどう？」

お、いいぞ、ンダホ。

モ「んー、それはまだでしょ。そもそも俺の事少しでも気にしてくれてるのかさえ確信何一つないからなー」

"お前ら全員鈍すぎる"

声に出したいのをぐっと堪える。
キス動画の"いいな"発言で気づかない奴らだ、仕方ない。

シ「まぁ、モトキくん頑張りたまえ」



* * *


モトキ side

久々の全員集合の撮影も無事終わり。片付けをするもの、準備をするもの、各々の作業をしている。
俺はカメラを片付けながら数時間前の事を思い出していた。


- - - - -

マ「で、鍵どーすんの？」

俺の恋バナで盛り上がっていたが、そもそもはそこが一番大切なところで。
一番はマサイが持ってて、夜に返す事なのだか、如何せん、マサイとシルク、ンダホの三人は今日からの遠征で明日の夜まで帰って来ない。ポストに入れるという話も出たが、女の子の一人暮らし、物騒な世の中、万が一があってはならないので、それはボツになった。
かといって、数日マサイが持ち続けるのも・・・。

シ「モトキが持ってて返せばいいんじゃね？」

モ「まぁ、それだったら今日返せるね」

ン「連日会える口実にもなるし？」

ニヤニヤしながら、コイツは。
まぁ俺自身満更でもないあたりが、嬉しいような残念なような。

モ「んじゃまぁ、俺が預かって今日中に返せるようにするよ、連絡してみる」

- - - - -


荷物をまとめていると、自分のバックに入ってるAちゃんの家の鍵が目にはいる。あまりにも自然に入っている鍵が、合鍵かのように思え暫し固まる。そんな所を見られたたのか、ンダホがニヤニヤしながら冗談混じりの忠告をしてくる。

ン「送り狼ならぬ、"返し狼"になるなよ」

モ「なるかよ！」

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