【Fischer's】前途多難な恋だから * モトキ

夜道 * 01 ページ17

「いらっしゃいませ」

お昼過ぎ、おやつの時間はお店のピーク。
作ったケーキを並べながら、少なくなってきてる商品を確認する。
この時間から新たに作ることはそうそうないが、ストックがあるものに関しては出さなければならない。

とりあえずこれを出したら休憩いけるかな、そう思い、テラス席を見ると見たことのあるシルエット。

「いらっしゃいませ、お飲み物のおかわりはいかがですか？」

ノートパソコンにコーヒー、お決まりのスタイルでのんびりしているのは、マサイくんだ。

マ「あ、Aちゃん、お疲れ様」

「こんなとこでお仕事？？」

マ「うん、気分転換。動画編集じゃないから外でもいいかなーって」

「なるほど。ごゆっくりお寛ぎ下さい」

営業スマイルてそう云うとマサイくんは"おう"とコーヒーを飲みみつつ再び画面にかぶりつく。

二週間ほど前に、レジではじめて会ったときは二人して驚いたものだ。
まさか、マサイくんが仕事先のカフェに通ってるお客さんだったなんて。たまにレジやホールなんかもするのだが、ほとんどキッチンなので今まで気づかなかったのだ。週1・2くらいの頻度で通っていたらしい。

そんな事を考えながらショーケースの方に向かっていると、何か視線を感じた。振り向いても、そこにはいつもの風景。
最近、仕事中に視線を感じる事が多々ある。お客さんからと言うよりは、何か他の・・・。
でも実際いつも誰っていう何かは見つからず、ただの思い過ごしで終わるのだ。
今回もまたわからないままで、レジに戻る事になった。

気になるには気になっていたが、その時はそんなに気にとめていなかった。

夜道 * 02→←距離 * 04

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す