コード・ブルー departure farewell -第２章-

life　45 ページ7

冴島side









見慣れているはずのICU。









聞きなれているはずの機械音。









その全てが私の心に重くのしかかる。









そして。









ICUの重症個室には固く目を閉じて眠っている大好きな親友がいて。









スタッフステーションの前のベッドには、大切な友達であり仲間がいる。









規則正しい機械音が響いている事が、二人が生きている証となってしまった。









自発呼吸をするようになり、バイタルも安定している白石先生。









自発呼吸もなくバイタルも不安定。いつ急変してもおかしくないA。









海ほたるのフェリー事故から早3日。









二人の傍にはいつも誰かがいる。









時には他科の人まで訪れることも。









まあ、大抵ベッドは二人の医師に占領されて近づくことが出来ず、顔を見るだけで帰ることになるんだけれど。









あの日から藍沢先生は抜け殻のようになってしまった。









新海先生も隙があればICUに行き、ナースに怒られる。









今日は珍しく藍沢先生がオペに入って不在だから、私がAのベッドを占領することにした。









生憎白石先生の方には新海先生がいるから。









・









Aの細くて白い手を握る。









温かい。









目尻が熱くなって、雫が零れ落ちる。









Aの手の甲に一粒二粒と水滴がついていくのを見て、私は堪えることなく









泣いた。

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