ぬくもり ページ41
「…お前…何やってたんだよ。」
うつむきながら座り込んでいるので、彼の表情は見えない。
私はちいさくつぶやいた。
『見て分からなかった？ジ殺だけど。』
呟くと彼はガシッと肩をつかんできた。
力がとても強かった。
私は驚いて彼の顔を見る。
「当たり前みてぇに言うな！！！」
『っ』
余りにも真剣な彼の目に動揺が隠せない。
『なんで知らない人に言われなきゃいけないの！？』
私も黙っていられない。
キッと彼を睨んだ。
「…お前の事情は確かに分からねぇ。知ろうともしねぇよ。だって他人なんだから。でも、でも俺だって家庭の事情が色々ある。何回もジ殺しようと思ったことだってある。でも！大切な人の顔が、思い浮かんだから、いつも、暴力を受けたって、反抗しながらでも、自分を忘れないで、諦めないことにしてたんだ！！！」
彼にも、色々な辛い家庭事情があるのは、驚いた。
でもっ＿
『…貴方が言うように、私もあなたの事情なんて知りませんよ。他人ですし。
でも、いきなりなんですか。私が何をしようと貴方には関係ない。
大切な人の顔が思い浮かんだ？
大切な人が居ない場合はどうすればいいんですか。
大切だと思っていた人がこの世から消えたら私は何をすればいいんですか。
私の辛い事情は、貴方なんかと比べ物にならないッ！
暴力？自分を忘れないで？
私は暴力なんか受けてないし、自分も忘れていない。
でも、私はこの世界そのものから嫌われている！！！
一人から嫌われているあなたと、この世界から嫌われている私。どちらが辛いと思ってるんですか！？
私は…私はいつも仲間外れ。汚い物扱い。すべてこの個性の所為だった。
自分のことは絶対に忘れません。忘れることなどできない。
こんな個性を持った人間なんて、忘れることなど出来ないわ。
だから、私は毎日自分に囚われながら生きてきた！
カン禁されたことも、裏切られたことも、いっぱい経験した！
それに…私は…私は…』
ヒトゴロシ。
『っ』
言えない。
言いたくない。
他人でも、言いたくない。
また嫌われる
また逃げられる
またっ！＿
「っ」
『ぇ＿』
いきなり何かに締め付けられた。
あったかかった。
この季節じゃありえない程の暖かさだった。
これが、温もりというものなのだろうか。
前を見ると、さっき私の過去をぶちまけた紅白頭の青年だった。
私の首に顔を埋めている。
「お前の事情は、俺よりも確かにつらかった。だから、俺にその辛いことを分けてみろ。」
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西園寺氷空音(プロフ) - uniさん» ありがとうございます！とても嬉しいです！ (2018年9月24日 11時) (
レス) id: 0dcd459902 (このIDを非表示/違反報告)
uni - こういう作品すごく好きです！応援してます。続き楽しみにしています (2018年9月23日 23時) (レス) id: 516a52c2da (このIDを非表示/違反報告)
西園寺氷空音(プロフ) - リアさん» ありがとうございます！更新がんばります！ (2018年8月8日 10時) (レス) id: 04b35f3cda (このIDを非表示/違反報告)
リア - 続き楽しみにしてます！ (2018年8月8日 10時) (レス) id: 0dcd459902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西園寺氷空音 | 作成日時：2018年3月28日 15時
