文学少年少女 〜second book〜

61 : パンク ページ20

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ﾋﾟﾋﾟｯ ﾋﾟﾋﾟｯ




(人2)「…ﾊｯ…ﾊｸｼｮﾝｯ！！」



デジタルで表示される、3.7度5分の文字。






…熱を出してしまった。






(人2)「…あー…頭痛い……」






その原因は昨日。


事故とはいえ、私は昨日、あの歌詞さんから、
あの憧れに憧れた歌詞さんから、
頬にキスをされたのだ。





何度も私の名前を呼ぶ吐息交じりの声


いつも穏やかな歌詞さんとは違うどこまでも迫ってくるような瞳


思い出すだけでもどうにかなりそうで、どうにもならなくて


でも熱によって考える体力もなく、バテてしまう。







そしてあの天月くんからも……



(人2)「……」





天月くんは昨日居酒屋さんの帰りに送ってくれて、
…キスをして、そして私を抱き締めた。



もちろんびっくりして離れようと思ったけど、できなかった。




それは彼の身体が、小さく震えていたから。

どうして抱き締められたのかはわからない。


でも彼の
"今日、お酒入ってるから"
という言葉は、どこか寂しそうで




拒むことができなかった。








どうして天月くんは昨日キスをしたのだろう、どうして震えていたのだろう


そして何故歌詞さんは私を呼んだのだろう




…





(人2)「〜〜〜っ///」



何はともあれ歌詞さんと天月くんからキスをされたという事実が、家に帰って実感として押し寄せてきて

そのままパンクして、今にいたる。









…また、熱が上がったかもしれない。





午前7時すぎを指す時計を見ると、私はまた赤い頬を隠すように布団の中へもぐって行った。



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