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腕には大量の注射痕。
頭がふわふわした状態で、何も考えられない。
「……驚いた。相当薬への耐性があるな」
瞳孔が開ききって、部屋が眩しい。
「お前の思っていることを、そのまま教えてくれればいい」
駄目だ。
正常な判断が出来ていた頃の私が、絶対に頷いてはいけないと何度も言い聞かせていた。
「……強情だな。少し前まで従順でいたのは、効率を求めてか」
左手を掴まれる。
変な方向を向いたままの中指が目の前にある。
「残りの指が、どうなっても良いのかな?」
「!!」
薄い唇は弧を描く。
神父の瞳は暗く、底のない闇のようだった。
首を振る。
涙が落ちた。
いやだ。
たすけて。
「もう一度聞くぞ。言わないのか?」
……そもそも、彼が悪者なのかもわからないのだから、言ってしまってもいいのではないだろうか。
恐怖が私に囁いた。
さあ、包み隠さず話してしまえ。
そうすれば、私は楽になれる。
私は逸見さんの袖を掴んだ。
「……わたしは、いきていてもいいのか?」
神父は微笑んだ。
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ほっ - え、今更新中止しますか!?めっっっっちゃいいところだったのに!?? (2022年3月6日 13時) (レス) @page49 id: a5ff14c25a (このIDを非表示/違反報告)
冷兎 - あ”ぁ”ぁ…っ、ちょ、いいところっ……!!今!いいところぉっ……… (2021年7月31日 2時) (レス) id: 3cae246b7c (このIDを非表示/違反報告)
あま - 一番気になるところで… 更新待ってます!!! (2020年6月20日 23時) (レス) id: 621034dbe1 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 今、更新停止中ですね。 (2020年2月19日 17時) (レス) id: a614cebea9 (このIDを非表示/違反報告)
NZM(プロフ) - 更新楽しみにしてます…!吸血鬼様良き… (2019年11月22日 16時) (レス) id: 13f970b2f4 (このIDを非表示/違反報告)
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