【名前変換オリジナル】お前の血・・・・吸わせろよ【吸血鬼】2

65 ページ40

喉が動いたのを確認したのか、やっと解放されて、息ができるようになる。

すぐに吐き出そうとするが、それを見透かして神父は冷たい声で呟いた。

「吐き出せばもう一二本折る」

左手の中指は、有り得ない方向に曲がっている。
痛い。
……もう、あの痛みは味わいたくない。
泣きながら首を振る。
……逆らえない。

「そうか。……君はやはり物分りがいい」

うつ伏せで荒い息を吐く私を、彼はゆっくりと仰向けにする。

「今の薬に痛みは伴わない。君が反抗しない限りはもう痛いことはないさ」

涙でぼやけた視界で私は彼を見る。
怖い。
彼は、単純に人間の苦痛が好きなのか。

薬のせいか、身体がじわじわと温かくなる。
神父の言う通り、痛みはなかった。
むしろ心地いいくらいだ。

新たな涙が零れる。
涼星と出会える可能性は、減ってしまったのだろうか。

「どうした。何を泣くことがある」

心配しているようでも、楽しんでいるようでもある。
……ただ妙なのは、心配が演技には見えないことだ。
本来なら有り得ない二つの感情が、彼の中には確かに存在した。

……わからない。

66→←64 ※

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す