352蕾開く ページ22
三成は幸村の存在に気づくと、振り返り際に幸村を睨み付けた。
三成「何だ？また私に講釈を垂れに来たか？」
幸村「石田殿。某が貴殿を総大将として仰いだはこの戦で全てを賭けるに足る人物と認めたからでござる。大谷殿もその他多くの大名衆もそれぞれに思惑はあれども、貴殿は全てを賭けるに値すると信じた故にござる!」
皎月院「!」
三成「フン…」
再び外へ視線を戻す三成に幸村は諦めず、言葉をかけ続ける。
幸村「貴殿は某達の気持ちを全く分かってござらぬ!豊臣秀吉殿は小田原に没し、ここには居らぬ!」
その言葉を聞いた瞬間、三成は殺気と共に刀を抜き、幸村の首元に押し当てた。
三成「貴様ぁ!!」
幸村「秀吉殿亡き後、それでも豊臣に馳せ参じた皆の想い、それを見るでござる!某は貴殿だからこそ、共に戦いたいと思った!皆も同じ気持ちでござる!皆聞きたいのだ…貴殿の心の内を…本当の声を…」
皎月院「!!」
幸村の言葉を聞いた瞬間、皎月院の心にAの言葉が再び響いた。
『独りじゃないから。』
皎月院「……。」
三成「黙れ!!この憤りは私のものだ…!!この郷愁だけが…私に残された唯一の…」
皎月院「殿。」
三成、幸村「!!」
皎月院のその一言に三成と幸村は驚愕を顔に浮かべる。そして三成の眼は次第に怒りを帯び、それは幸村から皎月院へ向けられた。
三成「貴様…今何と言った…。」
皎月院「殿と申しました。あなたの事です。あなたの他に誰が居ますか？」
三成「!!何…だと…!!殿はこの世にただ一人、秀吉様を置いて他には居ない!!」
皎月院「今はあなたが殿なのです!!石田三成!!」
三成、幸村「!!」
皎月院は三成と向かい合い、真っ向から三成を見据える。その眼に迷いの曇りはなく、あるのは…強い光だった。
皎月院「失ったのはあなただけではありません!!天下人としてこの日ノ本を治めんとしていた秀吉様が没した事は、日ノ本中に居る多くの者達の行場が無くなった事と同じです!!
秀吉様に続き、半兵衛様までが亡くなり、私も刑部さんも悔やみ、居場所が無くなりました!!
それなのに、どうしてまだこの場に留まっているか分かりますか!?
まだあなたが居るからです!!秀吉様を誰よりも慕い、誰よりも秀吉様に近しい場所に居たあなたが居るから!!豊臣の未来を、希望を迷いなく信じて託せるのです!!」
三成「!!」
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!!終盤戦ももうすぐそこなので、張り切って最後まで書かせて頂きます!! (2017年11月13日 13時) (
レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
遠どぅー(プロフ) - もう楽しみでしょうがないです､早く続きが見たい！夢主達がどぅーなるか気になります!!更新頑張って下さい!! (2017年11月13日 12時) (レス) id: 8674fd3df2 (このIDを非表示/違反報告)
タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!もう本当に長らくお待たせしてすみませんでした!!完結まで後もう少しなので、頑張って最後まで終わらせます!! (2017年10月24日 11時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
遠どぅー(プロフ) - 待ってました!!これからどぅーなってくるか楽しみです!!更新頑張って下さい!! (2017年10月23日 18時) (レス) id: 8674fd3df2 (このIDを非表示/違反報告)
タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!すごく嬉しいです!返信遅れてすみませんでした!これからも張り切って更新させていただきます! (2017年10月22日 20時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：タンポポ | 作成日時：2017年9月13日 14時
