342痛み分け ページ12
皎月院は心の声に揺さぶられ、震える手で刀を両手で握ると、そのままAに向かって振り上げる。
翠「!!うたちゃん!!やめて!!」
A「!……うたちゃん…もしかして…心の闇と戦ってるの…?」
翠「!」
【さぁ…全てを奪った狸と狐を…その手で壊せ……奴等が死ぬのは当然の報いだ…今ここで逃せば…またこいつらはあの人を苦しませる……更なる雨を降らせるだろう……
今しかないんだ…太陽を砕滅できるのは…】
皎月院「はぁ…はぁ……そう…三成様は悪くない……砕滅されるべき人間は…お前達だ!!」
A「!!」
そう叫んだ瞬間、闇の棘を纏った刀がAに向かって振り下ろされた。
翠「やめてええぇぇぇ!!!」
翠は脚を引きずりながらAに手を伸ばすが、奇しくも届かず間に合わない。そして…
[パアアァァァッ!!]
翠「!!」
皎月院「はぁ…はぁ……っ!?」
振り下ろされた刀は…
Aの両手に掴まれ、止められていた。その手は橙色に輝いている。
翠「あの光は…!!」
皎月院「!!」
Aの手の光は刀に纏った棘の闇を取り除くと、そのまま刀を通して、皎月院の心に繋がる。
皎月院「!……何…この感じ……暖かい…。」
すると…徐々に皎月院の眼に光が戻り、目尻から涙が溢れ、肩の荷が下りたようにその場に座り込む。
そしてAも手の光が消え、刀を離すと、同じくその場に座り込んだ。
翠「A!!大丈夫!?手切れてない!?」
翠はようやくAの傍へ駆け寄り、両手を診ると、Aの手は刃に触れた掌から大きな裂け傷が出来、そこからまた溢れ出るように流血していた。
翠「大変!!早く手当しないと!!少し我慢し…」
[ピチャン…ピチャン…]
翠「?……!」
脚がくるぶしまで浸かっている水面に何かが落ちる音がした。その音は…Aの眼から零れ、頬を伝ってそのまま水面に落ちていた。
A「…っ……っ……。」
翠「A?」
先程、皎月院がAの光に触れ、正気に戻ったように、Aも皎月院の闇に触れて伝わったのだ。
想い人に想いを伝えられない歯がゆさ…
傍に居れば居る程募る彼へのいと恋しさ…
求めてはならない情欲…
自分を抑え、あらゆる欲を斬り捨て、これまで尽くす事だけを喜びにしてきた反面、想い人に対する気持ちは重くなり、潰される心…
ラッキーカラー
あずきいろ
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タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!!終盤戦ももうすぐそこなので、張り切って最後まで書かせて頂きます!! (2017年11月13日 13時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
遠どぅー(プロフ) - もう楽しみでしょうがないです、早く続きが見たい!夢主達がどぅーなるか気になります!!更新頑張って下さい!! (2017年11月13日 12時) (レス) id: 8674fd3df2 (このIDを非表示/違反報告)
タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!もう本当に長らくお待たせしてすみませんでした!!完結まで後もう少しなので、頑張って最後まで終わらせます!! (2017年10月24日 11時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
遠どぅー(プロフ) - 待ってました!!これからどぅーなってくるか楽しみです!!更新頑張って下さい!! (2017年10月23日 18時) (レス) id: 8674fd3df2 (このIDを非表示/違反報告)
タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!すごく嬉しいです!返信遅れてすみませんでした!これからも張り切って更新させていただきます! (2017年10月22日 20時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タンポポ | 作成日時:2017年9月13日 14時