332嘆きの闇 ページ2
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駿府城。地下牢にて。
Aは誰も引き連れず一人で、牢に居るお市と対面していた。
なぜそんな危険を犯してまで彼女と会うかと言うと、Aにははっきりさせなければいけない気がかりがあったからだ。
それは…
A「…。」
お市「…。」
二人の間に沈黙の空気が流れる中、先に口を開いたのは…Aだった。
A「…単刀直入にお聞きします。あなたが魔王織田信長の後継者ですか?」
お市「……。」
A(……あれ、何も答えない……突拍子過ぎたかな…。)
Aは改めて質問を変える事にした。
A「ごめんなさい、ちょっと聞き方悪かったです。言い直すとですね……あなたはこの国を…
…日ノ本を壊したいという気持ちはありますか?」
お市「……。」
質問を変えても、お市の口は一向に開かない。ただボーッと虚ろな眼でAを見つめている。
A(……忠次の言ってた通り…本当に何も応じてこないなんて……せめて何か喋ってもらえたら…)
首を傾げ、頭をひねって悩んでいたその時…
お市「……ふふっ。」
A「!?」
何の前触れもなく、突如お市は笑みを溢した。すると…
お市「…あなた…光色さんが好きなの?」
A「ひ、光色…さん…?って…誰?…………あっ!もしかして家康の事?」
お市「えぇ…………光色さんも、あなたも…眩しい……お互いを…照らし合わせて…瞬き合ってる…」
A「!」
お市「……でも、その光はあなた達だけのもの……周りの人達には眩しすぎて…手が…届かない……眼を潰されてしまうの…。」
A「!!なっ…何を言って…」
お市「でも…お日さまはずっと輝いてはいられない…光色さんとあなたもきっと、お日さまのようにいずれ沈んでしまうわ……だって…
…お日さまに近づきすぎたら、その身を焼かれて墜ちてしまうもの…。」
A「!!…っ……そんなの…!!」
お市「いいえ、きっとそうなるわ。」
A「何でそうはっきりと断言出来るの!?」
お市「…
……長政様も兄様に近づきすぎたから、撃ち落とされて、二度と飛べなくされて、死んでしまったの…。」
A「!!!!」
お市は遠くを見つめるように途方の見えない眼をしてそう呟いた。
Aはその眼からお市の深い哀しみと…底無しの闇が見えた。
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タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!!終盤戦ももうすぐそこなので、張り切って最後まで書かせて頂きます!! (2017年11月13日 13時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
遠どぅー(プロフ) - もう楽しみでしょうがないです、早く続きが見たい!夢主達がどぅーなるか気になります!!更新頑張って下さい!! (2017年11月13日 12時) (レス) id: 8674fd3df2 (このIDを非表示/違反報告)
タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!もう本当に長らくお待たせしてすみませんでした!!完結まで後もう少しなので、頑張って最後まで終わらせます!! (2017年10月24日 11時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
遠どぅー(プロフ) - 待ってました!!これからどぅーなってくるか楽しみです!!更新頑張って下さい!! (2017年10月23日 18時) (レス) id: 8674fd3df2 (このIDを非表示/違反報告)
タンポポ(プロフ) - ありがとうございます!すごく嬉しいです!返信遅れてすみませんでした!これからも張り切って更新させていただきます! (2017年10月22日 20時) (レス) id: f0242507ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タンポポ | 作成日時:2017年9月13日 14時