【短編】白夜鉄道回送録 (ページ5)

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＊

＿慧へ。

この手紙を見つけたということは、
僕はもう、生きてないってことになるね。

これから僕が書くことに、
目をそらさないで見てほしい。

まず、これと一緒に写真が入っていたと思う。
胎児の写真。

その胎児が、慧なんだ。

でもその写真には、
胎児が一人しか映っていない。

僕と慧は双子。
だから一人しか映っていないのはおかしいと思うよね。

でも、その写真が真実なんだ。

僕は、慧と血がつながっていない。
勿論、母さんや父さんとも。

母さんと父さんの本当の子供は慧だけ。
僕は拾われた捨て子だった。

僕も最初は知らなかったけれど、
高校に入ってから初めて母さんに知らされた。

慧は僕が本当の双子だと信じ切っている。
だから光にもそうやって接してほしい、って。

だけど僕には無理だった。
真実を知った以上、慧と居るのが辛くなった。

双子だと自分も慧も騙して、
一緒に居るのはもうやめにしたかったんだ。

だから、僕はこの道を選んだ。

慧にも、家族にも申し訳ないけど、
こんな方法しか思い浮かばなかった僕を許してほしい。

今までありがとう…

最後の文字は、
滲んでいて読めなくなっていた。

光はずっと、
苦しみながら生きてきた。

僕はその分の痛みを、
一緒に背負うことはできなかった。

だから、
僕も光と同じ痛みを味わうことにする。

ねぇ、光。いいよね。
双子じゃなくても、

…僕たちはずっと一緒に居た、友達だもんね。

fin