検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:3,459 hit

ページ17

***





遮光カーテンの向こうで聞こえていた音も、
今ではすっかり聞こえない。

目隠しをずらして時計を見ると、
あれからもう、2時間以上たっている。
タイムリミットまで、あと30分だ。



「もう諦めちゃったのかなー…」



伊野尾くんがつまらなさそうに、
口をとがらせて呟いた。

所詮、目立ちもしない、普通の男子高校生。
それに、爆弾に当たろうと、隕石が落ちようと、
どっちにせよ死ぬのだから関係ないのだろう。



「じゃあ、もう終わりにしようよ」

「…雄也?」



気が付けばふと、そんなことを口にしていた。
皆は驚いたのか、静かな空気が流れる。
俺は目隠しや手足に巻き付けられた縄を外すと、
他に縛られている光くん、有岡くんの分も外した。



「…もう、どうせ死ぬんだし。
こんな時間、勿体ないよ」



少しの沈黙の後、
伊野尾くんがパソコンをシャットダウンさせる。

後に続くようにして、
光くんも有岡くんも、持っていた縄を捨てる。



「フィナーレだ」

「…何それ、薮。だっさ」

「…なんだよ、いいじゃねーかかっこつけたって」



薮くんが照れ笑いしながら、光くんとドアノブを捻る。
廊下はもう真っ暗で、蛍光灯の明かりもない。



「行くよ、皆」



光くんは一足先に廊下に出て、
手招きをした。



「夜の学校ってさ、なんか新鮮だね」

「いや、夜じゃねぇし、真昼間だから」

「あー、そっか」



有岡くんが言うように、確かに外も中も、
夜のように真っ暗だ。

そんな暗闇に、
一筋の光がさした。

それは太陽の光でも、蛍光灯の明かりでもなく、
懐中電灯のきつい明りだった。



「おい、犯人、待て!」



懐中電灯を持っていたのは、学年主任の教師。
俺らが真っ黒の格好をしていたから、
犯人だと勘違いしたらしい。



「やっべ、走るぞ」



俺らはその光くんの合図とともに、
一斉に走り出した。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (9 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
11人がお気に入り
設定タグ:Hey!Say!JUMP
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:茸* | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年11月5日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。