a kind lie (ページ22)

今日:11 hit、昨日:5 hit、合計:60,039 hit

20 ページ22

.
濱田さんはうちの屋敷の庭師

いや、違うな

俺の姉ちゃんのお抱えの庭師だった人

敬語使われるのが嫌で

何度も辞めてって言ってるんやけど、

「奥様の弟さんなんで」って言ってやめてくれへん

紫「旦那様調子はどうですか？」

濱田さんは未だに淳太君に気を使う

淳太君の機嫌を損なわないように

紫「薔薇、今年も綺麗に咲きました」

黄「そうか…」

紫「是非1度見に来て下さい」

黄「そのうちにな…」

さっきまで笑ってた淳太君の笑顔が消えた

これ以上話しても無駄やと悟った濱田さんは

軽く会釈してまた薔薇園へと入って行った

橙「淳太君？」

黄「なんや」

橙「今年の薔薇めっちゃ綺麗でな、
沢山貰ったから広間に飾ってみたねん」

薔薇園の話を聞くと

あの柔らかい笑顔の淳太君が

殻に閉じこもってしまう気がする

何もかも遮断するような…

橙「…折角やから薔薇園まで足伸ばしてみる？」

黄「薔薇園の話はもうええねん！」

こうなってしまった淳太君は

何も聞こうとしない

橙「ごめん」

俺にはそれしか言えなかった

.