標的72 ページ32
壁を破壊したのは、無数の針を纏った球体
球体はそのまま幻騎士へと襲いかかりAから退けた
「ああ、ちょうどいい。」
瓦礫のなかをひとつの靴音が進む
「君、一ノ瀬Aを知ってるかい？」
聞き慣れた声は間違いなく
幻「雲雀恭弥…！」
雲(十)「ついでに白くて丸い装置は、この先だったかな。」
壁を破壊した球体の正体は雲雀の匣、雲ハリネズミだった
ふと、視線を下に落とすと足元には痛々しい姿のAが倒れている
近くには山本とラルもいる
それだけで現状を理解したのか再び幻騎士へと視線を戻す
雲(十)「どうやら最初の質問には答えられそうだね。」
そう言ってその場に片膝をつくとAの頭を持ち上げる
貴(十)「ひ…ばり、っ…」
雲(十)「あれだけ忠告しておいたのに、このザマだ。」
容赦のない一言になにも言い返せず力なく笑う
むしろいつも通りの雲雀に安心したのだろう
雲(十)「…自分の役目は果たしたようだけど。」
僅かに首を傾けまだ息のある2人を一瞥する
貴(十)「あいつらは、わたしの命に代えても護る…そう決めたからな…」
二重スパイという危険な役を演じてまで、Aは2人を護ろうとした
雲(十)「十年前に比べれば随分人間らしくなったね。」
幻騎士の言うとおり、一体なにがAを変えたのか
それを知るのは本人しかいない
雲(十)「けど、気にくわない。」
喜ぶべき変化のはずだ
だが、雲雀の表情は不機嫌なものだった
さすがにAでもなにを言っているのかわからない
不思議そうに見つめる瞳を無視してAの頭を下ろすと、最後にそっと頬を撫でていく
雲(十)「その体じゃ動けそうにないからね、君はここで見てなよ。」
注がれる優しい眼差し
それに、と続けて立ち上がると背を向ける
.
.
雲(十)「ようやく君から聞けた。」
一瞬、時間が止まったようにすら感じた
ゆっくりと離れていく雲雀の背中に手を伸ばす
しかし、振り返ることのない彼には届くはずもない
激しい痛みがからだを襲う
それでも起き上がった
せめて
一度だけでも
ちゃんと伝えたい
こんな弱いところは見せたくない
情けない顔は見せたくない
それでもAは唇を動かす
貴(十)「……________…」
ボフンッ！！
煙に包まれて、Aの姿は見えなくなった
ラッキーカラー
あずきいろ
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羅琉迦(プロフ) - 小鳥さん» はじめまして！応援ありがとうございます、これからも頑張らせていただきます！ (2016年4月4日 17時) (
レス) id: e77445351c (このIDを非表示/違反報告)
小鳥 - 初めまして！ver1から読ませていただいてます！これからも頑張ってください！ (2016年4月3日 21時) (レス) id: bd814a00d8 (このIDを非表示/違反報告)
羅琉迦(プロフ) - アリス･ネーヴェさん» ありがとうございます！頑張らせていただきます！ (2016年3月26日 23時) (レス) id: 9033d5fd14 (このIDを非表示/違反報告)
アリス･ネーヴェ(プロフ) - 面白いです！これからも更新頑張って下さい！ (2016年3月25日 22時) (レス) id: cb5300e9da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羅琉迦 | 作成日時：2016年3月7日 5時
