【銀魂】ボールパークの恋愛算術

5 アカツキ ページ5

　
　
　


"憂鬱"、そんな言葉が今の私にはぴったりの感情表現だと思う。



今日も今日とて高杉先生の補習があるため、「解いてこい」と出された大量の問題集と睨めっこしていた。
書いては消して書いては消しての繰り返しに次第とプリントに汚濁ができる。




「はぁ、」なんて大きな溜息が溢れてペンを放り出す。
やる気は起きない。





『どうだ？ 補習は』





上から降って来る声に顔を上げてみるとペロペロキャンディーを舐めた白衣姿の坂田先生が居た。






『どうもこうも、ご覧の通りですよ』

『うわ...、見事にまっさらだな』





好きでまっさらなわけじゃないが、こればかりは仕方ない。
苦手なものを好きになるのは大変なのだ。





もはや、やる気はとうの昔に無くなってしまって居て再度ペンを握ってみるも問題文を一行読んで諦めた。
また今日の補習で「バカ」「アホ」と罵られるのは目に見えてる。






悔しさで見返してやりたいが、それが出来る力量を持ち合わせていない。








『どうしたら良いと思います？』

『頑張れ』

『一言で片付けられた！』







解が1つしかない数学は色んな法則の中に縛られていて、私にはそれが苦しくて仕方がない。



数学が得意な人は尊敬するけど、高杉先生は尊敬したくない。








『いや、でもさぶっちゃけビックリしたよ』

『何がですか、私の点数ですか』

『それもだけど、高杉の方』







「彼奴が進んで補習見てくれるなんて」。
そう言って、ガリッと音を立てて飴を噛み砕く先生を見詰める。







『別に、見てもらわなくても良いです...』







そんな風に悪態をついてみたが、「行きたい学校があるんだろ？」とどん底の私に追い打ちを掛けてくる先生にグウの音も出ない。








『次移動だろ? 遅れんなよ』







気だるげにひらひらと手を振る先生の後ろ姿をぼーっと眺め見送る。









『...頑張りますよ...』









頑張れば良いんでしょ...

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