16 ハル ページ16
『あ』
私の出した声に振り向いたのは、教材を片手に抱える高杉先生だ。そこには折りたたまれたテストが教科書の間に挟まれており、まだ返されていないクラスもあることが分かる。
『あの……』
何か話したい、そう思ってつっかえながらも声を出すが、何を話したら良いのか分からない。
どうしたら引き止められるか、足りない脳味噌で考え、結局出した答えは「もう補習はないんですか」なんて下心丸見えの質問だった。
『する意味はもうねェな』
一言ずつで、私たちの会話は終わってしまう。補習が無くなったのは悲しいが、今は目の前の高杉先生のことしか私には見えていない。
何か言わなきゃ、そう焦る心が、抑え込んでいる欲しがり屋な私を起こしてしまった。
『なら、ご褒美をくださいよ』
「補習頑張ったので……」と付け足す。高杉先生は浅い息を吐いて、「何が欲しいんだ」とようやく私の正面に向かい合ってくれた。
もう一度頭を撫でて褒めてくれ……などというワガママはこれ以上言えずに、私は近くの自動販売機を指差す。
『飲み物、奢ってください』
先生はそんな物で良いのか、と言いたげな表情をチラリと見せたが、私と一緒に自動販売機の前に並んだ。
早く決めろと急かされ、カフェオレにしようとするも、少しでも可愛く見せたくて、イチゴミルクをねだる。
『んな甘ったるいの良く飲めるな』
呆れたように口をへの字に曲げるも、お金を入れてボタンを押してくれた。
そして下の蓋を開けて取り出したイチゴミルクを私に差し出し、「じゃあな」と手短に言っては横を通り過ぎて行ってしまう。
慌ててお礼を言わなくては、と思うが、結局私は何も言えずにその背中をただ見送った。
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紫蘭(プロフ) - ハルさん» そうなんですか。でも応援して頂けるだけでも嬉しいです笑 私も、同い年だと分かって嬉しいです！親近感が湧いて仕方ないです笑 またお話出来るの楽しみにしてます！ (2017年9月18日 15時) (
レス) id: 684ce788b1 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫蘭さん» 実はですね、私中学受験をしたので高校受験がないんですよ……。なので本当に他人事のようにしか紫蘭さんに何も言えないのですが、本当に応援しております。同い年、嬉しいです。親近感が湧いちゃいます( ´ ∀｀) 息抜き程度にでもまたお話ししてくださると嬉しいです。 (2017年9月18日 14時) (レス) id: eb197fc214 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 獅子の子さん» やっぱり高杉はいいですよね〜( ´ ∀｀) ニヤニヤしちゃいますよね、考えてると。 この作品でキュンキュンしてくださったのならなによりです！ 閲覧とコメント、どうもありがとうございました！ 高杉さん万歳！！＼(^-^)／ (2017年9月18日 14時) (レス) id: eb197fc214 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - ハルさん» ハルさんも高校受験何ですか！！私も一緒です笑 いえいえ、全然大人じゃないですよ…中学3年のまだまだ未熟者です。私自信、ハルさんの方が大人っぽいです！ハルさんも身体に気を付けて勉強や更新の方頑張って下さい！応援してます！！ (2017年9月18日 12時) (レス) id: 684ce788b1 (このIDを非表示/違反報告)
ｱｶﾂｷ(プロフ) - 銀皐月さん» 先生に、ですか!! それは素敵な夢をお持ちですね!! 「なれる」なんて無責任なことは言えませんがなれるように祈ってます。きっと良い先生になるんだろうなぁ、なんて思いつつ... その時は素敵な生徒にも会えると良いですね! コメント有難うございました (2017年9月18日 9時) (レス) id: 30e1da4c35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：高杉同盟
x他1人 | 作成日時：2017年7月31日 23時
