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7話 ページ8

真があの遊びをしていたのは、中学校二年生の頃である。


その日、真は誰もいない踏切で、猫の死骸を見つけた。


正確には、その猫の最期を見た。


大きな音がして猫はその場から離れようとしていたのだが、誤って踏切の方に来てしまったのである。


真が目を見開いて息を呑む頃には、もう猫はそこにはいなかった。


・・・・それが、全てを少しずつ、ずらしていったのである。


真は、汚いものを極力見せられずに育ってきた。勿論、それは小学校低学年あたりで察していたし、世の中は思ったより遥かにげすいと覚悟していた。


しかし、初めて見る世界の汚れが、まさに何かの命が失われる瞬間というのは中々こたえるのである。


それからは、真は何も信じられなくなった。全てに汚れた部分がある気がしてならなくなってしまったのだ。


両親も、友人も、遊んでいる小鳥でさえ汚く見えてしまう。


汚いのが、当たり前なんだと。そう思い始めてから、真が変わるのは早かった。


誰かの汚れに傷付けられないために、自分もげすくならなければならない。そうしないと、自分自身が保てなくなる。


恐怖が真を支配していた。ならば、と、真は他人の恐怖を支配したくなった。


時々、真は自分が汚れていくのが怖くなることがあったが、そんな時世界の汚れを思い出すためにしていたのがあの遊びである。


猫の恐怖を支配した。猫の命をも支配した。


それを遊びと呼ぶ自分は、なんて汚く残酷なのだろう。そう自分に言い聞かせていた。


幼かった真の、最後の抗い。


自分を誰かに変えさせまいとした真だったが、自ら自分を変えてしまった。それ気付いた時には、もうそこに手繰り寄せられる微かな希望さえ無かったのである。

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ルナ(プロフ) - 番外編とか続編とか作ってみて下さい!! (2020年5月18日 18時) (レス) id: 9be15952a3 (このIDを非表示/違反報告)
雫鶴鳩 - 更新頑張ってください!! (2017年11月12日 23時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
氷留痲 - 追加・・・更新頑張って下さい!! (2017年2月6日 0時) (レス) id: a6e8c41ba4 (このIDを非表示/違反報告)
氷留痲 - 面白い!貴方は花宮+赤司のIQのお方ですか!?((尊敬 (2017年1月22日 20時) (レス) id: a6e8c41ba4 (このIDを非表示/違反報告)
夢喰。(プロフ) - 内容がミステリアスで思わず魅入ってしまいました。更新、気長に待ってます( ´ ▽ ` )ノ (2016年12月28日 21時) (レス) id: bb18efc351 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魅乃瑠 | 作成日時:2016年6月19日 23時

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